海外学術調査フォーラム

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  • VII アメリカ大陸、もしくは超域的研究分野
  • VII アメリカ大陸、もしくは超域的研究分野

    座長伊藤 元己(東京大学大学院総合文化研究科)
    木村 秀雄(東京大学大学院総合文化研究科)
    話題提供者木村 秀雄(東京大学大学院総合文化研究科)
    タイトル「アンデス・アマゾン人類学調査30年」

    1)話題提供報告(約70分)

    要旨   :
     話題提供の報告は、アンデスとアマゾニアにおける人類学調査を行った経験を中心に行われた。調査は、1)ボリビア領アマゾニア、2)ブラジル領アマゾニア、3)ペルー領アマゾニア、4)ボリビア領アンデス、5)ペルー領アンデス、という五つの地域にわたり、期間は1年の長期のものから数週間の短期のものまで、さまざまであった。地域の特徴は、1)と2)とが熱帯雨林、4)と5)は、山岳地帯、3)は両者の中間地域として纏めることができる。調査テーマは、親族名称、出自に関する概念、人の移動を中心とした「社会組織」、「儀礼と宗教組織」、「先住民共同体の社会経済体制」といった人類学のややオーソドックスなテーマから、神話や幻覚剤利用を経て、「先住民と観光」や「先住民と開発」といった極めて現代的なインパクトの強いものまであり、話題も、調査内容そのものから調査許可の手続、先住民との関係構築など、実に多彩な内容を含んでいた。


    2)参加者の自己紹介(約15分)

     話題提供の報告に続けて約15分を使って、参加者の自己紹介が行われた。


    3)質疑応答・討論(約25分)

     討論は、調査許可とサンプル持ち出しを中心にして行われた。近年は、植物・動物・微生物などを自然資源と看做しそれに対する財産権を主張する考え方が強くなり、国によっては調査と持ち出しに対する規制が相当厳しくなったが、国際条約の締結に向けた努力もなされている。国際条約によって、今まで比較的緩い資源管理がなされた国では規制がより厳しくなる可能性もなくはないが、全体として手続がより透明になるのではないかといった期待の声も表明された。


     そのほかに、現地での謝金の払い方といった科研費使用に関わる質問や現地カウンタパートとの知り合い方に関する質問があり、座長・話題提供者および参加者の中から様々なアドバイスが提供された。


    (報告:陶安あんど(AA研))