海外学術調査フォーラム

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  • IV 南・西アジア・北アフリカ
  • IV 南・西アジア・北アフリカ

    座長黒木 英充(AA研)
    髙松 洋一(AA研)
    話題提供者松原 康介(筑波大学大学院システム情報工学研究科)
    タイトル「ベイルート・アレッポ・ダマスカス:記憶のよすがの歩き方」

    南・西アジア・北アフリカ分科会は、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所の黒木英充教授と高松洋一准教授を座長として、参加者12名(AA研所員を含む)を得て開催された。

    分科会では最初に参加者が自己紹介をしたあと、松原康介氏(筑波大学大学院システム情報工学研究科)により、「ベイルート・アレッポ・ダマスカス――記憶のよすがの歩き方」と題して情報提供が行われた。都市計画学の立場から、中東・北アフリカ地域における近代都市計画を歴史都市の保全という視点に立って批判的に検討する情報提供者が、これまでにベイルート、アレッポ、ダマスカスを対象に実地調査(目測、実測、写真・ビデオ撮影、聞き取りなど)に基づいて行ってきた研究の成果の一端が報告された。また、情報提供者が参画する独立行政法人国際協力機構(JICA)によるダマスカス都市計画プロジェクトや、作成に関与する中東都市多層ベースマップシステムの概要についても紹介があった。 話題提供の後半では、これまでの主要な調査地であるシリア、レバノンについて、治安状況や、現地調査を行うにあたって必要な諸手続き、収集した資料・情報(特に住居など住民の個人情報に関わるもの)の取り扱いで注意すべき留意事項などが報告され、さらには、健康管理や、研究資金の管理と効率的運用に関しても情報提供が行われた。

    情報提供に続く意見交換の時間では、最初に、都市と都市計画に関する質疑応答が行われるとともに、出席者からの質問に応えるかたちで、情報提供者の調査地域におけるGPSなどの情報機器利用について紹介があった。意見交換時間の後半では、写真の撮影をはじめとして、現地で資料や情報の収集を行なう際に必要な手続きや留意事項について、インドなど中東・北アフリカ以外の地域の事例を含めて情報の交換が行われた。さらには、現地スタッフへの謝金の支払いをはじめとする研究資金の管理・運用の方法、収集したサンプル試料の国境を越えた運搬にまつわる諸問題、調査に必要な比較的大きな機材を現地に搬入する方法などをめぐって、活発に意見が交換され、盛況のうちに散会した。


    (報告:太田信宏(AA研))