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タイ語中級 報告

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タイ語中級授業風景
研修期間
2014年8月18日(月)~ 2014年9月12日(金)
午前9時00分 ~ 午後4時40分(土曜日・日曜日は休講)

研修時間
120時間

研修会場
大阪大学箕面キャンパス
(〒562-8558 大阪府箕面市粟生間谷東8-1-1)

講師
宮本マラシー(大阪大学大学院言語文化研究科教授)
村上忠良 (大阪大学大学院言語文化研究科准教授) 
デンスパー・スワッタナー(大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程大学院生)
トラカーンタロンサック・ターンポーン(大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程大学院生)
セーリム・パンニー(大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程大学院生)
ドゥアンケーオ・パオサタポーン(大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程大学院生)
ラッタナセリーウォン・センティアン(大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程大学院生)
ダナサーンソムバット・ジャルナン(タイ国元日本留学生協会附属日本語学校非常勤講師 / フリーランス翻訳者)

受講料
72,000円(教材費込み)

教材
『サヌック:中級タイ語の会話と文法SANUK: Intermediate Thai Conversation and Grammar』(宮本 マラシー)(5.4MB)  正誤表(39KB)
『中級タイ語分野別語彙集 Vocabulary for intermediate Thai language course』(村上 忠良)(1.5MB)

講師報告

1. 研修の概要 詳細

○研修期間:2014年8月18日(月)~ 2014年9月12日(金)(土曜日・日曜日は休講)
○研修時間:120時間
○研修会場:大阪大学箕面キャンパス

本研修は2014年8月18日(月)~ 2014年9月12日(金)までの20日間,1日あたり6時間(午前3時間,午後3時間),合計120時間実施した。
会場は,大阪大学箕面キャンパスE棟3階学術交流室を利用した。

2. 講師 詳細

主任講師
宮本マラシー(大阪大学大学院言語文化研究科教授)
講師
村上忠良(大阪大学大学院言語文化研究科准教授)
外国人講師
デンスパー・スワッタナー (大阪大学大学院言語文化研究科博士後期課程)
トラカーンタロンサック・ターンポーン(同上)
セーリム・パンニー(同上)
ドゥアンケーオ・パオサタポーン(同上)
ラッタナセリーウォン・センティアン(同上)
ダナサーンソムバット・ジャルナン(タイ国元日本留学生協会附属日本語学校非常勤講師 / フリーランス翻訳者)
文化講演者
宮本マラシー(大阪大学大学院言語文化研究科教授)
村上忠良(大阪大学大学院言語文化研究科准教授)

3. 教材 詳細

『サヌック:中級タイ語の会話と文法SANUK: Intermediate Thai Conversation and Grammar』(宮本マラシー)
『中級タイ語分野別語彙集 Vocabulary for intermediate Thai language course』(村上忠良)

1.『サヌック:中級タイ語の会話と文法SANUK: Intermediate Thai Conversation and Grammar』(宮本マラシー)
 本教材は,中級タイ語の学習者を対象にするため,タイ語は,発音符号を付けずにタイの文字のみで表記されています。様々な上下・親疎・同異性にある人間関係の人々が実際日常生活で交わしていると想定される会話文,実用度が高そうな語彙,慣用句,様々な表現や言い回しの文法説明,例文,そして練習問題で構成されています。受講生には,能力の差があるだろうと想定していたので,複雑で難しい言い回しでも,出来るだけ簡単な表現で説明し,分かりやすい例文を取り上げることにしました。研修終了後でも,独学で復習できるように練習問題の解答例も付けました。

2.『中級タイ語分野別語彙集Vocabulary for intermediate Thai language course』(村上忠良)については,特定のトピックについて書かれた中級レベルのタイ語の文章を読んでいくうえで利用できるよう,必要と思われる分野別の語彙をまとめました。実際には中級以上の語彙も収録し,中級~上級の学習で利用できるように作成しました。

4. 受講生詳細 詳細

受講生が2名で,年齢的にも比較的近かったので,早く打ち解け,リラックスして学習できる状況でした。欠席日数・時間がほとんどなく,少人数であったので,学習者のレベルに合わせて,個別指導を綿密にすることができました。また両名ともにタイに滞在経験があり,一人は高校生の時にAFSの奨学金を受けてバンコクの高校で,もう一人は交換留学生として,タイの大学でタイ語を学んだことがあります。帰国してから,タイ語を使う機会が少なくなったこともあり,受講動機は,主にタイの友人や知り合いとの間のコミュニケーションをずっと続けたいということだそうですが,その中の一人は,就職先がタイにも支店があるので,タイに赴任されることもあるかもしれません。いずれにせよ,2人とも研修終了後に何らかの形で学んだタイ語を使うことが期待できると思います。研修中,2人は仲も良く,最後まで熱心に受講し,教室の外でも積極的にタイ語を使っていました。

5. 文化講演 詳細

[担当講師:宮本マラシー]
① 8月19日「談話・会話に見るタイ人のものの考え方」
談話・会話に出てくる表現,およびそれらの表現に見られるタイ人のものの考え方を,日本人のそれと比較しながら話しをしました。受講生は,過去タイ人との間のやり取りにあった話などをとりあげて,講師との間で意見交換を行いました。全体で約2時間で終了しました。

② 9月2日 :「タイのテレビドラマに見る女性」
タイの劇とドラマの歴史,そしてテレビドラマに描かれている女性像の過去と現在について,テレビドラマのいくつかのシーンを見せながら説明しました。受講生は2人とも女性のためか,女性の話になると非常に関心を示していました。特に,テレビドラマのことなので,演じられているそれぞれの人物像が分かりやすく興味を持ちやすかったと思います。講演が終わってからも,言葉の勉強のためにもタイのドラマを見たいと申し出があったので,いくつかのドラマを紹介しました。この講演は3時間弱かかりました。

[担当講師:村上忠良]
① 8月26日:「タイ国内のムスリムの現状について」
② 9月9日 :「東南アジア大陸部西南中国の四角地帯の少数民族シャン」  言語だけではなく,文化・社会に関する内容の講義も興味をもって聞いていました。

6. 授業 詳細

午前の授業3時間と午後の授業3時間に分け,第1週目は午前に「会話と文法・表現」,午後に「文章読解」の授業を行い,以降1週ごとに「会話と文法・表現」と「文章読解」を午前・午後を交代しながら授業を進めました。

受講生は2人だけということもあり,会話の授業では,受講生と講師との間に自由に会話 を交わす時間をたっぷりとることができました。さらに9月4日と10日は出席が一人であったため,その方の希望のタイの映画を鑑賞し,映画のセリフに出てきた表現や言い回しをじっくりと勉強することができました。

「文章読解」の授業に関しては,特定のテーマについて書かれた比較的短いエッセイや歌の歌詞などのテクストを日本語へ翻訳する作業を通して,分かち書きせず句読点もないタイ語の文章の「読み方」を学習しました。またテクスト内に出てくるテーマに関する語彙の学習も行いました。ネイティブ教員には,タイ語文章の正しい発音での読み方,テクストとは別の文章表現の可能性や,語彙の用法の説明をしてもらいました。

7. 研修の成果と課題 詳細

1日6時間の集中講義で受講生が2人しかいなかったため,受講生にとっては集中力を持続するのに大変だったかも知れませんが,一方,個性の違う6名のネイティブの講師の発音や話し方などから,いろんなタイ語をたくさん聞くこと,さまざまな話題について会話を交わすことができたため,受講生にとっては充実した有意義な時間を持つことができたと考えられます。文章読解に関しては,受講生がタイ語の文章を読む機会が少なかったので当初はかなり苦労しましたが,特定のトピックについて書かれたタイ語文章を辞書を引きながら読み,その内容を把握するレベルにまで到達することができました。課題は短期集中型という形式で,読める文章の量が限定されたため,トピックの内容が限定された点です。

8. おわりに 詳細

より幅広く日本人タイ語学習者の間に本研修が貢献できるかどうかには,実施時期,時間数,場所などが今後の課題となるでしょう。

(宮本マラシー)

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