AA研トップ > 研究者養成 > 言語研修 > 研修言語リスト > アルメニア語(東) 報告
文字の大きさ : [大きく] [標準] [小さく]

アルメニア語(東) 報告

研修言語・オンライン教材リストページに戻る
アルメニア語(東)授業風景
研修期間
2013年8月5日(月)~ 2013年9月4日(水)
午前10時00分 ~ 午後4時30分(土日祝日および8月12日~14日は除く)

研修時間
100時間

研修会場
東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
(〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1)

講師
吉村貴之(東京外国語大学非常勤講師/アジア・アフリカ言語文化研究所ジュニア・フェロー)
アストギク・ホワニシャン(一橋大学大学院博士課程)
メリネ・メスロピャン(東北大学大学院修士課程)
ザラ・バラヤン(ジェーアイシー旅行センター株式会社) 

受講料
60,000円(教材費込み)

教材
『東アルメニア語文法Ⅰ』(吉村貴之著)(1.8MB) 正誤表(109KB)
『東アルメニア語文法Ⅱ』(吉村貴之著)(1.7MB) 正誤表(113KB)
『東アルメニア語語彙集』(吉村貴之著)(1MB)

講師報告

1. 期間・時間と場所 詳細

2013年8月5日(月)~9月4日(水)午前10時00分 ~ 午後4時30分(土日および8月12日~14日は除く)の100時間講義とした。会場は,東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所のマルチメディア会議室(304室)であった。

2. 講師 詳細

吉村貴之(東京外国語大学非常勤講師/アジア・アフリカ言語文化研究所ジュニア・フェロー)が全期間を担当し,ネイティヴ講師として,ザラ・バラヤン(ジェーアイシー旅行センター),アストギク・ホワニシャン(一橋大学大学院生),メリネ・メスロピャン(東北大学大学院生)が,それぞれ24時間,45時間,26時間担当した。

3. 受講生 詳細

受講生は,学内生1名以外にも他大の学部学生2名,院生が1名,さらには現役の高校生も1名参加した。これに加えて,言語学の研究者が2名,歴史学の研究者が1名,さらには一般社会人の方が4名も参加するなど,多彩な顔ぶれで,アルメニア語への関心の高さが窺われるとともに,日本での学習環境の不足が浮き彫りとなった。ただ,今年は希に見る猛暑で,受講者の中には健康を害して欠席する方が目立った。それにもかかわらず,家庭の都合でやむを得ず講義の大半が出席できなくなった1名を除き,最後まで講義に追いつこうと努力して修了証を手にするに至った受講者も見受けられ,受講者の熱意には講師としても心打たれた。

4. 文化講演 詳細

アルメニア人の社会や文化については,日本でほとんど知られていないため,ネイティヴ講師の3名がアルメニアの冠婚葬祭,民謡や伝統舞踊,映画史について紹介した。さらに,東京工業大学の篠野志郎教授にアルメニア教会の伝統建築法,東北大学の北川誠一名誉教授に古代アルメニア王国末期の歴史について講演していただいた。

5. 講義内容 詳細

第1週は文字と発音,挨拶表現から初めて,初級文法の中でも重要な動詞の人称変化と名詞の格変化を中心に練習した。アルメニア語は独自の文字を有し,ことに東アルメニア語は有気音と無気音の対立やl, r, rrの区別など,日本人には苦手な発音が多いのだが,ネイティヴ講師が丁寧に指導したおかげで,ネイティヴ講師も驚くほど受講生の発音が上達した。第2~3週は動詞の時制や法が中心となった。アルメニア語の動詞の変化は不規則が比較的少ないとはいえ,命令法や単純過去形のように多少規則が煩雑な文法事項もあって,受講生も習得に苦労していた。第4週は初級文法の補遺を指導したうえで,文章の読解と会話表現を練習した。心残りだったのは,東アルメニア語は現地でも外国人向けの読解教材が不足しているうえに,近年はソ連時代からの言語浄化運動が加速化しているために,20年前ほど前の文章でも今では書き言葉から排除されている単語が多く,素材選びに苦労した。また,諸事情で今年に入ってから本講座の講師が決定したため,会話の教則本の作成が間に合わなかっただけでなく,現地の会話集も大半がソ連時代に出版されたもので,内容面で時代に合わないことから,ネイティヴ講師に現状に合うように書き換えてもらうことで済ませた。
このように,多少不手際があったが,受講者の皆さんが遠方から毎日通って来る熱心さがあったおかげで,講師も暑さの中,一か月に亘る体力的にきつい講義を乗り切れたと思う。また言語の専門家や言語研修でいくつもの言語を習得した社会人の方などから鋭い質問を受け,今後の語学書の改善に大いに刺激となった。

(吉村貴之)

研修言語・オンライン教材リストページに戻る

Copyright © 2010 Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa. All Rights Reserved.