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期間:2021年度
21世紀以降の急速な社会変化に伴い,アジア・アフリカ地域では,とくに「多文化共生」の必要性が求められるにも関わらず分極化が進んでいる。その一方で多文化共生という枠組み自体が流動的になっており,現実には個々の文化の境界があいまいなトランスカルチャーの状況も生まれている。このような中で,めざす「多文化共生」のありかたも再検討する必要がある。 とくにCOVID-19パンデミック以降,分極化の様相も大きく変化している。分極化の一方で,オンラインでは国境・地域を超えたトランスカルチャー状態となっている。その反面,デジタルディバイドによる分極化も進むなど,これまでとは異なる共生・分極化が見られる。 こうした分極化には歴史認識・言語・文化的背景が大きく影響している。その解決のためには,まずアジア・アフリカ地域の歴史・言語・文化を,従来の枠組みを見直しつつ把握する必要がある。このことは,SDGsのめざす「誰一人取り残さない社会」に通じる「多文化共生」についての根源的な理解のためにも重要である。 そこで,これまでアジア・アフリカ地域の歴史・言語・文化を研究対象としてきたAA研の強みを活かし,歴史・地域研究,人類学,言語学の連携,さらに現地コミュニティ・研究機関との連携による持続可能な循環型研究手法により,分極と共生の実態を的確に把握することをめざす。
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