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今月の一枚 2011年7月

こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。

(写真の著作権は撮影者にあります。無断・無許可でのご使用は固くお断りします。)

双子の都市

地中海の東岸に位置するヤーファーとテルアビブは双子の都市だ。潮風に吹かれながら海岸線を歩くと,波に洗われる魚港から日差しの眩しいビーチにたどり着く。この双子の誕生は,それほど昔のことではない。紀元前からの歴史をもつ古い港であるヤーファーに対し,テルアビブは20世紀初めに建設された。1950年,イスラエルの建国によって,ヤーファーはテルアビブに併合された。

併合の歴史は痛みを伴うものだった。先立つ戦争によって家屋は破壊され,人々は故郷を追われた。いまだ帰還を許されない難民に代わって,町を建て直したのは新移民だった。町の性格や地名は変わったが,今も変わらないものがある。強い日差しに照らされて輝く海,海辺でくつろぐ人々の姿。潮風は時代や対立を越えて吹き続けている。

2011年6月
テルアビブからヤーファーの灯台を臨む
錦田愛子 撮影

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