こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。
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ヒマラヤ氷河を水源とするマリ川とンマイ川は、ミャンマー北部で合流し、同国を南北に貫く大河イラワジ川となる。この合流地点にまつわる昔話が、ミャンマー北部に暮らすカチンの人々に伝わっている。 昔、母と子が食べ物を探してこの地にたどり着いた。ふたりは、それぞれンマイ川とマリ川をさかのぼり、上流で再会しようと約束した。しかし、ふたつの川は上流で交わることがなく、母と子は互いを呼び続けながら森を進み、ついに再会できぬまま命を落とした。 その後、ふたりは蝉となり、母は「シャーイー」(子よ!)、子は「ヌーイー」(母よ!)と鳴くようになった。今もふたつの川で蝉の鳴き声が違って聞こえるのは、その名残だとされる。
2011年2月27日
ミャンマー連邦カチン州
倉部慶太 撮影
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