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教育セミナー >> 2007年度感想・報告 >> 光成 歩
2007(平成19)年度
光成 歩(東京大学大学院総合文化研究科修士課程)
 私は、第一回の同教育セミナーに続き、今回が2回目の参加であった。先回は発表せず受講のみであったが、その経験から、これだけの先生方から自分の研究構想や問題意識に対してコメントを受けることができるのは得がたい機会だと強く感じた。そのため、今回はどういう形であれ是非、自分も発表をしたいと意気込んで参加した。

  この「教育セミナー」には修士課程の学生が多く参加している。修士課程の学生にとっては、修士論文の執筆が2年間(あるいは3、4年間?)の一大目標である。修士論文を提出するまでに論文や学会発表の機会を得にくく、また物理的にもそれが難しい修士課程の学生にとって、本教育セミナーのような場で発表する機会を得ることは稀である。

  「教育セミナー」では、常時6人以上はおられる先生方、また受講生の前で自分の発表と質疑応答をおこなう。指導教官(員)と先輩、同期生に囲まれてのゼミ発表とは異なる趣である。それは、自分の問題意識やディシプリン、対象地域さえ共有していない人に対して研究を紹介する時間であり、いわばミニ学会発表のようなものかもしれない。もちろん、すべての発表者がこのような気構えで発表に望んでいるとは限らないが、それに似た緊張感を私自身は感じていた。

  発表の内容は、人により卒業論文の一部、大学院進学後の資料解読の成果、また私自身そうであったように修士論文執筆を控えての構想発表など、様々である。セミナーの場をいかに使うかは自由だが、私自身は執筆に入る前にこのセミナーで発表することを、論文準備の時間調整と捉えていた。発表時間の内外で、先生方や受講生がそれぞれの関心に基づき質問やアドバイスを下さり、あるいは他の地域での似た事例についてなどお話くださり、自分ひとりでは得られない知識や視点を取り入れることにつながった。

  以上は発表者としての感想・評価であるが、付言しておきたいのはセミナーの開放性である。現在修士課程、博士課程で学ぶ学生のほか、社会人として参加された方も複数人おり、視点の違いや、研究という世界の裾野の広がりを感じた。所属する大学院や、学生/社会人という枠を超えて、研究成果や関心を語り合えたことは研究を進めていく動機付けになった。またもう一点、対象地域・時代・ディシプリンの違いを超えた開放性も本セミナーの特徴である。これらを一朝一夕で自分の研究に生かすことは難しいが、「イスラーム研究」の知見として自らの研究成果を世に問う際には、広い意味での「イスラーム研究」の幅の広さを踏まえ、そこから自らの研究の価値を見出して行きたいと思う。

  最後に、セミナーでご指導くださった先生方、セミナーを支えてくださった事務局の方々にお礼を申し上げたいと思う。発表者としても、受講者としても、セミナーで多くの知見と友人を得たと感じています。本当に、ありがとうございました。
 

 

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