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教育セミナー >> 2007年度感想・報告 >> 松本 隆志
2007(平成19)年度
松本 隆志(中央大学大学院文学研究科東洋史学専攻博士課程)
 私は4日間のセミナーの内、事情により前半2日間しか参加できなかった。そのため以下の感想は参加した2日間のみのものであることを最初にお断りしておきたい。

全日程の半分しか参加できず、特に後半に組まれていた学生の皆さんの研究発表にまったく参加できなかったことは非常に残念なことであった。だが同時に、参加できた2日間は私にとって充実したものであった。

  初日は林先生がオスマン帝国史の研究史について、2日目は堀井先生がエジプト民法の成立状況について、黒田先生が近代イランの社会運動史について、それぞれ述べられた。私はいずれのテーマについても概説書程度、ないしはそれ以下の知識しか持ち合わせておらず、自分の不明を痛感するとともに、興味深く聴かせていただいた。以上の講義を私なりに分類してみると、林先生と黒田先生の講義は研究史の紹介を含めた概説的な内容であり、堀井先生の講義は現在御自身が取り組んでおられるテーマの序説的な内容であった。

  以下、私の感じたところを述べたい。本セミナーのような、専門とする領域が多様な学生たちに対して講義をする場合、何をどの程度まで話すか、という問いが付いて回るものであろうかと思われる。つまりは専門性と概説性のバランスの取り方ということになるであろう。そして講義に参加する学生の側にも、やはり問いが生じる。すなわち、講義に対して何を求めればよいのか、いかなる準備で臨めばよいのか、という問いである。これは普遍的な解答など望むべくもない問いではあるが、本セミナーが何を教育するセミナーなのかという問いへと繋がるように思われる。講師陣と各講義題目以外にも、いかなる性質の講義がおこなわれるのかを事前に明示していただけると、より有益なセミナーとなるのではないだろうか。

  また私としては、もっと専門的な内容でもよかったのではないかと感じた。より専門性が高い内容になればなるほど講義自体はシンプルな構造になるであろう。問題意識の所在がどこにあり、いかなる手法を選択して議論を進め、どのような成果を導き出したのか。こうした骨子が明確になり、結果として講義後の質疑も学生が参加しやすくなるのではないかと思われる。専門知識に関しては事前に参考文献やキーワードを提示しておいていただければ、専門外の学生も準備して臨めるであろう。

  以上、稚拙ながら私が感じたところを述べさせていただいた。

  最後に、毎日おこなわれていた飲み会について(少なくとも私が参加した2日間は連夜飲んでいた)。外大の先生方のフランクな雰囲気のためか、和やかであると同時に、刺激の多い場であった。そもそも学生に比して教員の割合が高いためか、座って参加しているだけで研究やこの業界に関する様々なお話を聞けた(初日の夜は気付いたら学生は私だけだった)。この点でも、2日間しか参加できなかったことが大いに悔やまれる次第である。
 

 

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