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教育セミナー >> 2007年度感想・報告 >> 細内 恵子
2007(平成19)年度
細内 恵子(荒川区立町屋図書館;平成16年3月、立教大学大学院文学研究科修士課程修了)
9月18日〜9月21日までの4日間「中東・イスラーム教育セミナー」が行われた。初日を迎えるまでの数ヶ月、報告をする訳でもないのに徐々に緊張が高まっていた。大学院を出てから3年が経っており、みなさんの報告についていけるか、質疑応答に加われるか、不安をあげれば切がなかった。そもそも修士のときも、うまく議論に加われた覚えがない。とにかく、あらかじめ配られた報告者のレジメを読んで、時代背景を調べなおす事くらいしかできなかった。しかし、そんな緊張はすぐに吹き飛ぶほど、研究意欲を刺激する活気のあるセミナーであった。

このセミナーでは、イスラーム研究に携わる者が集まったわけだが、「イスラーム」が表す範囲と同じく、受講生と先生方の研究対象は実に多様である。時代はイスラームの初期から現代まで、地域は中東のみならず、東南アジアやアフリカにも話が及んだ。分野も歴史学、文化人類学、法学、政治学と多岐にわたるため、自らの知識の少なさに愕然とし、急いで本を探すこととなった。

また、専門が違う人たちが集まるからこそ、発表や研究の手法についても学べたことは大きかった。例えば、言葉の定義である。言葉を慎重に使うよう、よく指摘されてきたが、ゼミの発表ではその必要性を忘れがちになっていた。今回のように、初めて顔をあわせ、専門を異にする研究の報告を聞くと、言葉のひとつひとつを定義しなければ、ひどく曖昧なものになってしまうことを再認識できた。そしてイスラームを多角的に見たことで、自らの研究対象も史料だけでなく、考古学や法学などを絡めたアプローチを考えさせられたことは大きな収穫である。また、研究者に何ができるのか、社会にどう還元していけるのか、というお話もあり、最後まで充実した4日間であった。

大学の中だけではイスラーム研究に携わる同志を見つけにくく、他の受講生も似たような環境だと言っていた。そんな中、このようなセミナーを開いていただいたことは、とても有難く、有意義なものであった。最後になりましたが、このような機会を与えてくださった先生方、スタッフのみなさんに感謝いたします。
 

 

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