Top page of the Project MEIS at TUFS
 
教育セミナー >> 2006年度感想・報告 >> 平野 淳一
2006(平成18)年度
平野 淳一(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)

 9月19日から22日の4日間にかけて東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所で開催された「中東・イスラーム教育セミナー」は、大きく分けて午前の院生による研究発表と午後の教員によるセミナーの2部から構成され(場合によっては夜半の懇親会も含めて3部から構成され)、極めて刺激に満ちまた活況を呈するものとなった。以下、同セミナーに対する私の感想を申し上げたい。

  まず、同セミナーに参加した教員や院生に関してである。トルコやアラブ諸国、そしてイランを中心とする「中東地域」のみならず、中央アジアや東南アジア、さらにはアフリカを専門とする人々が広く参集したことは、同セミナーの地域的多様性を裏付けるものであったといえる。また地域のみならず、歴史的にも現代を中心に前近代、近代と多重性を発揮し、同セミナーの時代的多様性も保証していた。さらに専門とする地域と時代のみならず、各教員や院生の方々の問題関心やテーマ、方法論といった「ディシプリン」も、政治学、歴史学、文学、人類学、言語学、地域研究等と多岐に亘り、優れて学際的であった。このように、同セミナーは地域的にも時代的にもまたディシプリン的にもあらゆる意味合いにおいて極めて多彩であったといえる。

  次に、私自身に関してである。あらゆる意味で多種多様な同セミナーへの参加は、従来の私の研究姿勢に新たな視角から良い意味で相対化をもたらし、今後の研究活動における一定の指針を提供するものであったと確信している。特に他分野・他専攻の教員や学生と議論をおこなう中で、自分の研究をどのような論理で説明し理解してもらえるか検討を要したことは、かえって自らの研究の再解釈と再定位を促すことにつながり、視野狭窄を解除する一助となった。

  最後に、今後の研究会や学会といったアカデミックな場における発表や質疑応答の予行演習になったことである。発表者側としては、立論と議論の展開、質疑の受け答え方や発表時間の厳守など、また質疑側としては、質問内容の要点を簡潔に提示してそれへの応答を冷静に聞き取り分析するという、考えてみれば当たり前であるこのような作業の困難さと重要性を、この度のセミナーで痛感し再確認することができた。このようなコミュニケーション・スキルの向上も、「教育セミナー」の一環として位置づけられるであろう。

  総じて、「中東・イスラーム教育セミナー」は私にとって従来の予想を裏切ることのない、極めて濃密で刺激に富んだものであった。今後とも是非継続して開催されることを願いたい。

  末尾ながら、同セミナーに関与された全ての人々に衷心からの感謝の意を表します。

 

 

back_to_Toppage
Copyright (C) 2005-2009 Tokyo University of Foreign Studies. All Rights Reserved.