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教育セミナー >> 2006年度感想・報告 >> 臼杵 陽
2006(平成18)年度
臼杵 陽

「イスラームのなかのユダヤ、ユダヤのなかのイスラーム」

 中東のムスリムと他の宗教・宗派マイノリティとの共存の問題を考えるために、「アラブ性」をキーワードにムスリムとユダヤ教徒の関係に焦点を当てた。アラブ・イスラエル紛争の文脈で現在のイスラーム・ユダヤ教関係の全般的な研究動向を、アラブ・イスラエルの対立構造を反映した二項対立的視座からの脱却として捉えた。同時に、イスラームにおける「ユダヤ教徒迫害史観」から「モロッコ的ユダヤ教」「イラク的ユダヤ教」など地域的文脈の中でユダヤ教を位置づけなおす作業の本格化の意味をも考察した。最後に1970年代以降のイスラエルでのエスニック・リバイバルの流れの中で移民第二世代の若者が出身地の文化的伝統に誇りを持ち始めて「ミズラヒーム(オリエント系ユダヤ人)」という呼称が広く使われるようになり、さらに1993年のオスロ合意以後は「アラブ系ユダヤ人」としてのあり方の模索も始まっていることを指摘した。
 

 

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