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教育セミナー >> 2005年度感想・報告 >> 山尾大
2005(平成17)年度
山尾大(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所において、7月26日から29日にとり行われた中東・イスラーム教育セミナーは、極めて刺激的で有益なものであった。教員スタッフによるセミナーや受講生の研究発表は、いずれも興味深かったが、本セミナーの積極的な感想は、以下の3点に要約できる。

  第1は、教員スタッフに関してである。中東・イスラーム教育セミナーであるため、中東や「イスラーム世界」を広くカバーするセミナーが期待されるが、その期待に裏切ることなく、スタッフの専門はイラン、トルコ、アラブ、インドネシアと幅広いものであった。そのため、各セミナーにおいて多用な教育を受けることができ、極めて刺激的であった。付言すれば、専門地域のみならず、各教員の方々のディシプリンも、歴史、人類学、宗教学と多様であり、議論の中身、立論の方法などを比較できるという意味において、興味深いセミナーであった。

  第2は、多様な分野の院生が集まったことである。院生の専門が、歴史、文学、開発、地域研究、言語など多岐にわたり、発表や質疑応答の場のみならず、懇親会や休み時間などの会話においても、多様な意見に接することができ、視野が広がった。それと同時に、分野やディシプリンの異なる研究者に対して、どのように自らの議論を展開し、理解してもらえばよいか、真摯に考えさせられる好機となった。

  第3に、今後の研究会、学会における議論、質疑応答の練習になったことである。自らの大学院のゼミを出て、しかも他分野の人々と議論することは一筋縄にはいかない。その意味において、「教育」セミナーの意義は大きいと感じる。
  以上のことにもかかわらず、提案として改善点を挙げるとすれば、それは以下の2点である。第1は、全体を通して、もしくは個々のセミナーにおいて、教官の方々の研究の方法論、フィールドの手法、資料の所在など、研究の基礎技術に関する議論があってもよいという印象を受けた。「教育」セミナーの性格上、研究方法の教授は包含されるであろう。第2は、セミナー後の議論にも上がっていたことであるが、合宿形式のセミナーに関してである。首都圏の参加者の不利益、拘束時間の長さなど、批判はあるが、利点も多いと考える。セミナー以外の場における議論が深まることが最大の利点であろうが、時間をつめて行えば、日程も短縮され、その分拘束時間も短くなるかもしれない。しかしながら、これらは提案であり、不満ではないことを付け加えておく。

  総じて、本セミナーは刺激に満ち、極めて有益なものであった。今後もぜひ継続して行われることを望むと同時に、私自身も再度参加させていただくことを切望する。本当にありがとうございました。
 

 

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