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教育セミナー >> 2005年度感想・報告 >> 大塚修
2005(平成17)年度
大塚修(東京大学大学院人文社会系研究科)
1.セミナーに対する感想
 本セミナーは、希望した受講生による発表(6回)・担当教員(以下教員)によるセミナー(6回)及び各報告に関する質疑応答という形で、4日間かけて行われた。まず本セミナーの特徴として、受講生に対する教員の数の多さが挙げられる(受講生18名/教員9名)。通常の大学院のゼミにおいて、これだけ多くの教員と対峙して、議論を交える機会はまずないだろう。勿論それだけなら、学会とあまり変わりはないといえる。しかし本セミナーでは、質疑応答の時間が十二分に設けられていた(受講生発表40分/教員によるセミナー60分)。その結果、沢山の議論を交えることが可能となった。またその議論の内容も多岐にわたった。というのも、受講生・教員の関心が様々であったからである。地域で言えば中東から東南アジアまで、研究分野で言えば歴史・思想・文学から地域研究・国際関係まで、と各受講生・教員の専門は実に多様であった。以上の3点、つまり、教員の割合及び質疑応答の時間の多さ、そして参加者の専門の多様さが、本セミナーの最大の特徴であるという印象を受けた。よって、以上の3点を中心に本セミナーを評価したい。

2.セミナーに対する評価
 まず教員の割合の多さについてだが、普段、専門地域や研究分野の違いなどから、話す機会のなかった「各分野の大家」と交流を持てたのは大きい。セミナー以外の休憩時間や「アフター」にも、色々新しい情報を仕入れることができた。ただし質疑応答の際に、受講生同士の議論よりも教員同士の議論が盛り上がっていた感は否めない。この点に関して、我々は反省すべきであろう。次に、質疑応答の時間の多さと参加者の専門の多様さについて言及する。通常の学会報告で用意されている質疑応答の時間は5〜10分である。時間が限られているため、その内容は大抵専門的になり、質疑の数も数個に留まる。それに対して本セミナーでは、その時間が十二分に用意されているため、専門を異とする参加者と十分に議論する機会を持つことができた。自分自身、どうすれば分かり易く研究内容を伝えられるか苦心したし、発表後には、上手に伝えられていない点も浮き彫りになった。また自身の研究を、普段とは違う視点(「中東・イスラーム」という枠組み)から見直し、その中でどのように位置づけられるのかについて再考させられた。

 今年度から、修士課程以上の学生に本セミナーのような機会が設けられたことは、非常に有難いと思う。大学院進学後は、自身の研究を深化させるため、その関心や交流の範囲は狭まりがちである。そのような時期に、様々な専門分野の方々と意見を交換できるというのは、自身の研究を見直し、次の段階に高めていくためにも、重要な機会だと感じた。

 最後に、このような機会を用意してくださった各担当教員及び事務局の方々、そして、共に参加した受講生の皆に謝意を表したい。
 

 

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