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教育セミナー >> 2005年度感想・報告 >> 大島史
2005(平成17)年度
大島史(東京外国語大学大学院地域文化研究科)
 学部、大学院と中東イスラーム研究に関わりながら、この研究セミナーに参加して改めて実感したことが2点ある。1つは中東世界の多様さとイスラーム世界の広大さであり、もう1つは中東・イスラームという研究対象について歴史学、政治学、人類学といった多様なアプローチのあり方である。まず最初の点であるが、筆者はトルコという地域から研究に入ったため、イスラームそのものについて、あるいは中東というトルコの周辺環境について深く考えることがなかった。しかしセミナーの中でイランという地域の多様性、インドネシアやマレーシアというもはや中東よりも多くのムスリム人口を抱える地域の現状を知ることになった。第二点目については、このセミナーはこれから博士論文の構想を立て執筆を始める筆者に研究手法のあり方を改めて考えさせてくれた。筆者は現在まで政治学や歴史学という手法を中心にしてきたが、人類学という手法を改めて見直すことができた。これから研究手法を変えることはないにしろ、積極的に現地に赴くことが多い筆者にとって、フィールドワークという手法は取りやすいものであり、研究にも活かせることができよう。

 セミナーの感想を簡潔に言えば密度の濃い充実した4日間であったと言う表現に尽きるだろう。学会や研究会等で顔見知りの仲でも、こんなに長時間を共にする機会は滅多にないし、何よりも満足であったのが各分野を代表する先生方の貴重なセミナーである。普段は著作や論文を読むことでしか知り得ない先生方の話が次から次へと拝聴できるのはなんとも贅沢なことである。

 最後に今後のセミナーに期待することは、中東・イスラームというテーマのもと、さらに多様な地域、民族を取り上げる機会を提供することである。例えばサハラ以南のアフリカなどは急速にムスリム人口が増加している地域であるし、マレーシア、インドネシアはもちろんフィリピン、タイなどもイスラーム運動の新たなる温床となっている。あるいは中東には、その安定を左右するクルド、イスラエルといったエスニシティや宗教が存在する。それらを無くして中東問題を語ることは不可能である。現在イスラームが世界情勢を左右する大きな勢力となっていることを考慮し、今後もより発展的な教育研究の機会が与えられることを期待したい。また今後も研究を重ね教育セミナーにも参加したいと思う。
 

 

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