四日間のセミナーは、いろいろな意味で大変有意義なものでした。まず、全日程で先生方と大学院生による発表・議論が行われましたが、研究分野ごとのアプローチの多様さには“驚き”を感じてしまいました。私にとっては神学、歴史学、文学といった分野の議論のほとんどは聞いているのが精一杯で、そのことは「イスラーム」を学び研究するということはどういうことなのか、自明であったものが謎に変わってしまうような体験でした。これはひとつには私自身の視野の狭さ、勉強不足のためであり、またイスラームそのものの膨大な時間・空間・哲学的な広がりのためでもあるように思います。率直に言えば、私にとってのセミナーは、ある知識を学んだ、イスラームや中東についてより多くを知った、自分の研究の具体的なヒントを得た、といったものではなく、むしろ分からないこと、知らないことがどんなに多いかを知る、そういう機会でした。
しかし先生方や参加者の方々の活気ある議論に触れ、研究の果てしなさを知ると同時に、そうしたものへ立ち向かってゆく意欲も湧いてきました。発表やそれ以外の場での情報・意見交換から、参加者の方々の意欲や志を強く感じました。このセミナーで、博士・修士院生の方々と知り合い、交流する機会が得られたことは、本当に幸運だったと思っています。
今後、修士論文の構想にむけて、自分の問いや方法論の限定が何を理解するためなのものなのかを問い直し、位置づける力を養っていきたいと思います。準備を重ねられたセミナーから得たのはそれだけなのかとお叱りを受けるかもしれませんが、またこのような機会を得たときには、より多くを学び、考えることができるよう、精進していきたいと思います。大変お世話になりました。ありがとうございます。
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