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教育セミナー >> 2005年度感想・報告 >> 久志本裕子
2005(平成17)年度
久志本裕子(東京外国語大学大学院地域文化研究科)
私は今回、教育セミナーの前の週にすでに五日間の「イスラーム研究セミナー」に参加していた。五日間の濃密な議論を経て、新しい情報で頭がすでに飽和状態になっていたと思っていたので、教育セミナーに入ったときはどこまで集中力が保てるものか、正直なところ不安を感じていた。だが、「研究セミナー」とは全く異なるアプローチの研究発表が続いたこと、そして「研究セミナー」にはなかった先生方のお話を伺えたことで、自分でも驚くほどに知的好奇心が刺激されつづけることになった。

 何より印象的であったのは、先生方の様子であった。私も含め多くの学生はおそらく、たくさんの先生方の前で発表するのであるからよほど専門的な話をしなくてはいけないだろう、というプレッシャーを感じていたのではないだろうか。けれども、少なくとも私の目には、先生方は学生の研究が進む方向にアドバイスを与えると共に、議論を楽しんでいらっしゃるように見えた。先生方のプレゼンテーションからも、研究への思い入れがひしひしと伝わり、これまでの先生一人と多数の学生、という形の大学や大学院の授業ではあまりみることのできなかった「研究者」の姿をみることができたように思う。こうした言葉にならない研究の姿勢といったものを見せ、議論の場を体験させることが、何より「教育セミナー」という名にふさわしい成果ではないか、と感じた。

 ただ、研究セミナーの密度の濃さに比べると、当然ながら全員の研究内容などについて理解を深めることができなかった。自己紹介の時間が長く取ってあったが、代わりに研究内容を少し長く発表する時間がそれぞれあっても良かったのではないかと思う。だがここでの出会いを生かして別の企画を参加者の中でしていくことも十分に可能である。学会とは全く異なる形のこうした交流の場が存在することは、非常に重要であろう。修士課程の学生の方が主であった多様な発表内容からは、これまで触れることのなかったことを学んだ。また参加者の中からは異なる研究領域の発表にも、質問がどんどん出されるのには驚き、自分の視野の狭さを省みさせられた。本当に貴重な機会を得たことに感謝するとともに、今後一人でも多くの方が同様の機会を得られることを望んでいる。
 

 

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