「イランとペルシア語文化圏――地域研究と歴史学」
本発表では地域研究としてイランを研究する際の諸問題について論じた。「イラン」といる枠組みが他の地域に比して強固である点、多民族国家であるため、完全にイラン人と同一視できないペルシア語話者「ファールス」の微妙なありかた、しばしばイランと同一視されてしまうシーア派の背景などについて論じた。最後にかつて中央アジアやインドを含めて存在した「ペルシア語文化圏」という概念が、現在のイランの諸民族のあり方を説明するうえで、また、現在のイランという国家のあり方を相対化するうえで、重要であることを強調した。