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研究セミナー >> 2005年度感想・報告 >> 菊田悠
2005(平成17)年度 後期
菊田悠(東京大学大学院総合文化研究科博士課程)
1. セミナー受講の利点
  はじめに、受講を迷っている方々向けに、セミナーのおススメの点を挙げてみます。
(1)1時間の発表の後、1時間たっぷり討論の時間があり、そこで「質疑」よりも「研究をまとめるための指導」に重点を置いたコメントが多々なされる。
→何らかの自分の研究に取り組んでいる者ならば、一流の先生方から懇切丁寧な指導を受けることができる絶好の機会。博士論文の進捗具合によらず、恐れず、受講してみるべきでしょう。
(2)先生方からの指導だけでなく、研究状況の似通った「同胞」に会い、その研究内容を聞くことができる。
→たとえディシプリンが違って全く知らない内容の発表であっても、なぜかとても励みになる。そしてセミナー後の食事会でさらに意見交換をし、ネットワークを広げられます。
(3)現在の研究に関することばかりでなく、広く研究者人生一般についても、セミナーやその後の食事会でさまざまな情報が提供される。
→人によってはこの側面のほうがありがたいかもしれません。いろいろな年代の先生方がいるので、情報も幅広いものがあります。
(4)遠方よりの客人には旅費も支給される。
→貧乏学生にとっては一番の配慮といえるかも…。

2. セミナー受講までの葛藤とその解消
  このように利点が多々あるにもかかわらず、私はセミナーが追加募集されるまで、応募をためらっていました。その理由は
  ・自分のディシプリン担当の教官が少なそうなのに、参加して役に立つのか?
  ・これだけ名の知れた先生方の前で、発表が酷評されたら立ち直れないかもしれない。
  ・そもそも応募の倍率が大変高いのではないか?(応募しても無理そう…)
などと考えたからです。しかしこれは、甘えた考えでしたし、全く合っていませんでした。

まず、これはセミナー最後に宮治先生がおっしゃった言葉ですが「異なるディシプリンの人々にこそ、伝わるような発表が、研究者や教員としてのこれからの人生には欠かせない」ということです。どうやって参加者に自分の研究に関心を持ってもらい、その成果を説得できるかというプレゼンテーションの仕方が、発表内容と同じくらい重要であると、このセミナーほど痛感したことはなかった気がします。これは大きな経験になりました。

  そして、「イスラーム」という大きな括りで集まった教官と参加者の間には、共通の問題意識や何かしら関連するテーマが見え隠れし、十分に深みのある議論が可能だということも、セミナーが進むにつれてわかってきました。4日の間、集中力が続いたのは、この議論の面白さに負うところも少なくありませんでした。

  発表内容に対する先生方のコメントも、「ただ批判する」ことよりも「育てる」ことに重点を置いていることがはっきりしていました。これは学会など他の場ではあまりない環境だと思います。恐れずぶつかってみれば、得るところは大きいはずです。

  従って、最後の一点「応募の倍率」については、まだあまり高くない今のうちに、学生はどんどん参加するべきでしょう。そして積極的に議論に参加し、セミナーを盛り上げてほしいと思います。

3. セミナーへの要望
  最後に、今後さらに充実したプログラムになるために、あえて「ないものねだり」をします。
  ・AA研スタッフを中心に、発表者のテーマと近い研究内容を持つ方を、なるべくその発表者の発表日に招聘する。より専門的に突っ込んだ質疑応答が期待できます。
  ・博士論文構想とセミナーでの発表の関連、先行研究の問題点と研究によって解消した点、研究のオリジナリティーなど、本セミナーで求められているプレゼンテーションの要点を、前もって示す。参加者が、ただ漠然とレジュメを用意するのでなく、セミナー向けに練り上げられた準備をすることができれば、その後の議論も内容に関することに集中できるはずです。

  とにかく、大変ためになる4日間でした。長時間、真剣に参加者に付き合ってくださった先生方、そして村上さんをはじめとするスタッフの皆様、参加者の方々に心から感謝いたします。どうもありがとうございました!

 

 

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