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研究セミナー >> 2005年度感想・報告 >> 福島康博
2005(平成17)年度 前期
福島康博(桜美林大学大学院国際学研究科)
 今回参加させていただいた、中東・イスラーム研究セミナーは、多くの点で私にとって大変有意義なものであった。ここでは、そういった点の中から特に役立った点と、今後同セミナーを続けていかれる上で、参加者からの視点から見た改善していただきたい点、および変更していただきたくない点を、指摘させていただきたい。

(1)募集期間、募集要項
  私の場合、当セミナーを知ったのは、大阪で開かれた日本中東学会での大塚和夫先生の講演であった。また、会場にも募集要項の記されたビラが置かれており、それに目を通した上で応募させていただいた。ただ、中東学会から募集締め切りまであまり期間がなかったため、書類作成に時間が割けなかった。募集期間や募集方法については、応募者が十分準備ができるよう配慮していただきたく思う。

 主催者側が求めていた応募書類には、「博士論文ないし現在執筆している論文の内容の概略」があったが、それがそのまま当日の発表内容として決定されたしまった点には、若干戸惑いを感じた。というのは、私は、博士論文ではなく、別途執筆していた論文の内容を発表しようと思っていたからである。募集の時点で、「あなたが発表したい内容(博士論文等)」と記していただければ、より早い段階で準備ができたと思う。この点を、今後検討していただきたい。

(2)主席者、カリキュラム
  今回のセミナー出席者は、7名であった。当初募集人数は10名とあったが、結果的には7名が適当な人数であったように感じた。この方がお互いに顔がわかり、また、発表以外の場面での意見交換も容易にでき、発表の内容やそれぞれの研究姿勢、研究にかける想いを理解することができた。これ以上の人数となると、そのような人間関係が希薄になりかねないので、7名程度の方が私にとっては好ましかった。このような効果も、今後考慮に入れていただきたく思う。

 参加者の研究テーマも、ある程度分散していたので適切であったように思われる。マレーシアを対象地域とする者が、私を含めて3名いたが、テーマはそれぞれ「政治」「教育」「経済・金融」で同じ研究とはいえず、問題とはならないと感じた。ただ、そうはいっても他の4名からすれば、3名の研究の背景となるマレーシアに関する知識の部分で、いささか難しい点もあったかと思われる。今回のように、「自分と異なる研究をしている院生」との意見交換もまた意義深いものであり、大いに刺激になるので、この方針を堅持していただきたい。

 出席者の人数とも大きく関連する部分であるが、発表と質疑応答がそれぞれ1時間づつというのは、結果からいえば、大変有意義であった。当初は、個人的には初めて経験する長さであったため、戸惑いも感じられた。ただ、主催者側より、1時間という時間配分は共同研究会に準ずる、という説明を受け、これは今後の研究生活において、いずれは経験するであろうものであり、その訓練と位置づけることができた。その意味では、当セミナーの目的の一つである「高度なプレゼンテーションとディスカッションのスキルの向上」に適う内容であった。

(3)セミナーの意義
  私個人のことになるが、在学校に同期の院生がいないため、研究内容だけでなく、研究の進め方や論文の執筆の方法など、行き詰っていた部分があった。そこで今回、同じ立場にある参加者の発表や意見、あるいは先生方のアドバイスを拝聴する機会を得て、自身の問題が氷解したり、あるいは院生であるなら誰もが突き当たる壁である、という認識を持つことができた。そういったことを知ることができたことも、今回セミナーに参加したことによって得られた大きな成果であった。

 私は、院生は早い段階から、学内だけでなく学外に積極的に出て行き、院生同士、あるいは先生方と議論を重ね、刺激を受けることが必要であると考えている。今回はまさにそのような場を提供していただき、大変感謝している。ただ、こうして学んだこと、得たことを実際の研究にどう結び付けていくかは、我々参加者の課題であり、当セミナーの成果は、今後の我々如何にかかっているといえる。当セミナーが継続されることを希望しており、将来的には、「中東・イスラームを学ぶ院生の登竜門」として内外から位置付けられるようになれば、と願っている。
 

 

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