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中東研究日本センター(JaCMES)における研究活動
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"French Orientalism and Legal Pluralism: Classification of Landed Property in Nineteenth-Century Algeria"


Akihito Kudo (Research Fellow, Osaka University)
工藤 晶人(大阪大学大学院 特任研究員)

本報告は、植民地期アルジェリアにおけるイスラーム法研究と、その植民地法への継受について考察した。19世紀後半のアルジェリアでは、フランスの植民地統治が現地の伝統と社会状況を尊重しているという外形を整えるために、イスラーム法研究の成果をフランス法の概念に接合する試みが存在した。一群の法学者や実務家たちの活動をつうじて出現したのが、アルジェリア・ムスリム法 (droit musulman algerien)と呼ばれる法令、判例、学説の集合体である。本報告では、アルジェリア・ムスリム法の形成期(19世紀後半〜世紀末)の学説史をたどり、具体例として土地制度に関する諸立法と学説をとりあげた。
政治史を軸とする従来の研究は、植民地の法を支配の道具という一面のみからとらえる傾向があったが、本報告は、法学説に内包された矛盾と多層性に着目した。植民地法学の形成期ゆえに表出した多様な議論の流れをたどることによって、支配の支柱となるべき法システムに内包された矛盾と、矛盾についての自覚が、いかなるかたちをとっていたかを提示することを試みた。
コメンテータをお願いしたOussama Arabi氏(Lebanese American University)からは、報告の視点について概ね肯定的なコメントをいただき、事例研究を深めていく上での具体的なアドバイスをいただいた。関係する分野の数少ない専門家である同氏から助言を受けたことは、今後の研究を進めていくうえで大きな糧となった。

他の参加者の皆さんの報告や討議を伺い、研究会時間外にもいろいろなお話に接する機会を持てたことは得難い勉強になりました。こうした貴重な機会を与えてくださった黒木英充先生をはじめとするスタッフの皆様に深く感謝申し上げます。

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