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中東研究日本センター(JaCMES)における研究活動
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"A Case Study on the Introduction and Attempt of 'Sosyal Demokrasi' in Turkey: Republican People's Party (RPP), 1965-1972"

Yoko Sekiguchi(Ph.D. Candidate, The University of Tokyo)
関口陽子(東京大学大学院総合文化研究科)

 私は2007年11月26・27日にレバノンの首都ベイルートで開催されたJaCMESの若手研究者報告会に参加させて頂いた。

 現代トルコについて勉強している私にとって、トルコ以外の中東の国に行くのは実は今回が初めてであり、期待半分、そして不安半分の行程であった。しかし、空港に着いて外に出たとき、その雰囲気や匂いは、まさしく私がトルコでかつて体験したものに酷似しており、非常に驚いた。レバノンというと、ついこの間まで内戦をしていて危険な国というイメージがあったが、街並みも復興しており、とりたてて治安の問題はないように感じた。

 今回、私を含めて7名が報告会に参加したわけだが、皆、研究ジャンルや手法、研究対象地域がバラエティに富んでおり、大変刺激を受けた。日本ではややもすると似たような研究手法や同じ研究対象地域の人達と接しがちであるように思う。これも、むろん重要なことであるが、議論が予定調和的に終わることも否定できない。しかし、大前提となる知識の共有が乏しい中で行う議論は予測しえない方向に飛ぶこともあり、しかも英語での発表及び質疑応答ということもあって、研究会にこれ程の緊張感を持って参加したのは久々だったようにも思う。私は1960年代半ばから1970年代にかけてトルコの世俗主義政党である共和人民党で起こった、社会民主主義思想導入の試みに関して報告を行った。従来のトルコ史研究では歴史的事実としては触れられるものの、トルコにとっての社会民主主義とはどのようなものであったのか、それに本流たる西洋の社会民主主義はいかなる影響を与えたのか、等について考察した。その結果、共和人民党にとっての社会民主主義とは従来の党イデオロギーに結びつけて解釈されたものであり、当時の党首にとって「社会民主主義」とは改革や発展のシンボル的な意味以上のものは持たなかったことが結論付けられた。コメンテーターのティームール・ギョクセル氏からは当時の党イデオローグに絶大な影響を与えたその夫人についての考察を深めるようアドヴァイスを受け、大変参考になった。他にも、このテーマがトルコ現代史研究においていかに位置づけられるのか、先行研究を引用して説明した方がよいとのコメントもあり、論文や研究発表をする際の基本的なスタイルの再確認にもなった。

 11月下旬はレバノン国内が大統領選出をめぐって混乱している時期でもあった。日本出発の直前まで開催が危ぶまれたが、何事もなく無事終了し、元気に帰国できたのは黒木先生並びにAA研事務の大屋さんの尽力の賜物であると思う。有意義且つ非常に貴重な体験をさせて頂きました。どうもありがとうございました。

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