概要

「豊饒なる埃及(えじぷと)」絵画展
石版画にみる十九世紀エジプトの風俗と習慣

[日 時] 2010年3月24日(水)〜5月28日(金) 10時30分より17時まで
    (土・日・祝日休場 ※5月22日・23日は開場)
[場 所] 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所一階資料展示室
[入場料] 無料

【エジプト学者プリス・ダヴェンヌが描いたナイル流域の人びと】
 一九世紀前半のエジプトは、法的にはオスマン帝国の一部でありながら、実態は総督ムハンマド・アリーの支配する独立国でした。日本の明治維新に先んずること五〇年。ヨーロッパをモデルに富国強兵を推し進めたムハンマド・アリーは、紅海対岸にあるイスラームの聖地マッカ、マディーナやナイル上流のヌビア、スーダンにまで支配を広げ、一八三〇年代初頭には主君であるオスマン帝国からシリアを奪います。一八四〇年以降はヨーロッパ列強の圧力を受けて、エジプト、ヌビア、スーダン以外の地から撤退したものの、ムハンマド・アリーのもとでエジプトは徴兵制を導入し、運河や道路などのインフラも整備して、近代国民国家への道を歩みはじめたのでした。
 本展では、この時代にエチオピアを含むナイル流域各地を訪れたフランスのエジプト学者エミル・プリス・ダヴェンヌ(1807-1879)が描いたクロモリトグラフ(多色石版図版)三〇点を展示いたします。一八二七年にエジプトに渡ったプリス・ダヴェンヌは、一八四一年から一八四四年にかけて各地の現場でこの下絵を描きました。一八四八年にロンドンで出版された『オリエント画集』は、日本では唯一、アジア・アフリカ言語文化研究所が所蔵するもので、今回の展示では、よりオリジナルに近いデジタル修復版をご覧にいれます。 作品の多くはさまざまな階層に属する人びとを描いた人物画ですが、これらは、一九世紀前半のナイル流域の暮らしに関するきわめて貴重な画像資料であり、文字資料では伝えきれない当時の風俗や習慣を生き生きと描き出しています。
 二〇〇七年に開催して好評を博した「鮮麗なる阿富汗」展に続き、同じく一八四〇年代前半のイスラーム世界の風俗と習慣を伝える絵画展への、みなさまのご来場をお待ち申し上げます。


展示について

「豊饒なる埃及」とは
「オリエント画集」について
民族誌の資料として
対象を正確にとらえる目

作者プリス・ダヴェンヌについて

プリス・ダヴェンヌの生涯

埃及(エジプト)について

埃及の歴史
埃及の地理
埃及の民族