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研究代表者:久保智之
研究協力者:西岡いずみ
海外共同研究者:趙阿平

 現在、話し手の数が減少し、危機的な状況にある満洲語口語の音韻論的特徴(音の使用・配列に関する規則性)、及び形態論的特徴(単語の形成に関する規則性)を明らかにし、語彙集及びテキストを刊行することを目的とする。満洲語口語の話者は、中国黒龍江省では数十人、同新疆ウイグル自治区では2万人ないし3万人程度と考えられ、話者の減少が加速度的に進行しつつある現在、両地点での調査研究が緊要である。黒龍江省の満洲語口語と、新疆ウイグル自治区の満洲語口語(シベ語)との間にどのような異同があるのかも、詳細に調査研究する。満洲語文語との比較対照も行なう。

 また、ロシア連邦のサンクト・ペテルブルクにおいて、満洲語口語及び文語に関する資料を収集するとともに、ロシア科学アカデミーのアルタイ語研究者と、研究交流を行なう。

中国黒龍江省ハルビンにある満語研究所の協力を得て、同省三家子で、満洲語口語の現地調査を実施する。調査の内容としては、同省における満洲語口語の残存状況に関して調査を進めるとともに、比較的保存状況のよい三家子で、基礎語彙調査を詳しく行ない、音韻論的、形態論的記述を行なう。 

 満洲語口語は、中央アジアに近い中国新疆ウイグル自治区でも、2万人ないし3万人程度のシベ族によって話されている。研究代表者は従来、この言語の調査を進めてきたが、今年度も、同自治区伊寧市を中心に、シベ語の現地調査を行なう。シベ語語彙集、シベ語テキストの作成を進める。

 同自治区のシベ語話者は、母語であるシベ語以外にも、漢語、ウイグル語、カザフ語を話す。シベ語母語話者の話すウイグル語は、母語であるシベ語の影響を当然受けていると考えられる。これを調査研究するために、九州大学大学院・文学研究科・博士後期課程の西岡いずみ氏を、研究協力者として新疆ウイグル自治区ウルムチ市に派遣し、ウイグル語自体の調査研究を行なう。これによって、シベ語母語話者の話すウイグル語について、その特色が明らかとなる。

 さらに、ロシア連邦のサンクト・ペテルブルクにおいて、満洲語口語及び文語に関する資料を収集するとともに、ロシア科学アカデミーのアルタイ語研究者と、研究交流を行なう。