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研究代表者:中村隆
研究分担者:朝倉利光
研究協力者:村崎恭子、白石英才、丹菊逸治
海外共同研究者:T. de Graaf

 現在,「危機言語」と呼ばれる多くの言語があり,それぞれの危機的状況は異なっている.本研究では,サハリン先住民の言語のうち,1)危機が頂点に達し,既に話者の絶えた樺太アイヌ語,2)危機度が極めて高いニヴフ語,ウィルタ語に焦点を当て,これらの言語について1)言語資料の所在状況の調査,2)資料からの再生・記録・再保存手法の追及,3)現存する話者からの言語採集・記録,を行うことを目的とする.
 平成12年度「樺太アイヌ語とニヴフ語の音声資料の記録と保存」(1,800千円,代表者村崎恭子),平成13年度「サハリン先住民の言語資料を対象とする記録と保存に関する総合的研究」(1,800千円,代表者村崎恭子)により,ロシア国サンクトペテルブルグのサンクトペテルブルグ大学古資料館所蔵のロウ管資料の実態調査,サハリンにおけるニヴフ語の現地調査を行った.古資料館には多くのロウ管音声資料が保存されており,これらの再生・再保存作業についての技術的協力が必要である.ニヴフ語はサハリンにおいて保存運動がはじまっており,日本からの技術的・資金的協力が強く望まれる.また,音声資料については現地研究者との研究協議により,新たな資料がイギリスで発見されたという情報を得た.
 以上のことから,今年度はサンクトペテルブルグの古資料館におけるロウ管資料,特に破損ロウ管の工学的再生作業への協力と,サハリンで収集した言語データのデジタルアーカイブ化を進め,危機言語の調査・保存研究を進める.

@ サンクトペテルブルグにおけるロウ管音声資料からの音声再生作業への協力.
特に破損ロウ管およびアイヌ語・ニヴフ語資料からの音声再生・保存.音声資料は文化的遺産であるため,現地へ赴いて研究協力を行うことが必要である.これを9月〜10月の期間に行う.このため,外国旅費が必要.

A 樺太アイヌ語音声資料の整理とデジタルアーカイブ化.継続.
昨年までに収集した音声資料は磁気テープ・CDROM・印刷資料と,様々な形で保存しているが,これらを統合的に管理・保存し,研究者の閲覧要求にこたえる環境を構築する必要がある.これを継続して行う.このため,研究補助の謝金が必要.