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研究代表者:遠藤史 本研究は、東シベリアの古アジア諸語のうち、ユカギール語・コリャーク語・イテリメン語(それぞれ下位方言群を含む)にかんして、(1)記述言語学の立場から詳細な現地調査を行い、(2)それによって得られた資料および過去の資料を検討し、語彙・文法・テキスト面での質の高いコーパス(資料体)を作成・蓄積し将来の歴史言語学的・類型論的比較研究の着実な基礎を築くことを目的とする。これらの言語は話者数の減少・話者の高齢化が近年著しく、若年層への継承もほとんど切れた「消滅の危機に瀕した」言語である。本研究は平成12年度および13年度の同名の研究計画を継続・発展させ、現地調査の成果を基礎として、コンピュータ利用との有機的な組み合わせにより当該言語の良質なコーパスを作成するとともに、ユカギール語およびイテリメン語の若手研究者を研究協力者として迎え、研究の一層の進展をはかる。 研究代表者は、ユカギール語(コリマ方言・ツンドラ方言)に関し、コンピュータ入力によるコーパス化(過去の現地調査で収集した言語資料と、存在がすでに確認されている既存テキスト資料を対象とする)を継続して進める。また、現地調査を継続して行い、一次資料の収集と分析にあたるとともに、コーパス化した資料の再検討を行う。また、現地において新たな既存テキスト資料の発見に努める。以上の作業は多岐にわたるため、同じくユカギール語を専攻する若手研究者(長崎郁:千葉大学大学院)を研究協力者として迎える。また海外共同研究者としてG.N.クリロフ(ヤクーツク少数民族問題研究所研究員)を加え、情報交換をすすめるとともに、より詳細な言語情報の収集をはかる。また研究代表者は、研究計画の円滑で効率的な進行をはかるとともに、研究のまとめを行うため、研究打ち合わせのための会議を年1回開催する。一方、研究分担者は、コリャーク語(チャヴチュヴェン方言)に関して、すでに収集してきた既存の語彙・テキスト資料のコンピュータ入力によるコーパス化を継続して行う。また現地調査を継続して行い、一次資料(画像・音声資料を含む)の収集・分析ならびに既存資料の再検討にあたる。合わせてコリャーク語と同系でありながら、これと多くの点で異なるイテリメン語を専攻する若手研究者(北部方言:小野智香子:千葉大学大学院、南部方言:谷津光宏:東京大学大学院)を研究協力者として迎え、イテリメン語南北両方言の比較基礎語彙集の作成をさらに進めるとともに、現在準備中のコリャーク語・アリュートル語・チュクチ語比較基礎語彙集(続編)との統合をはかる。また、ニヴフ語の若手研究者(渡辺みち子)を研究協力者として迎え、将来の歴史言語学的・類型論的比較研究への視座の獲得をはかる。 |