2.レクラション recreation
  英語のレクリエーションのこと。ただし、タクシ・ブルースの運ちゃんが途中こうのたまったら、一寸停車するから大・小用の人はそこら辺でご自由にどうぞ、あるいは車内に詰め込まれ身動きならず身体の節々の痛む人は車外で身体をのばすのも良しの意。生理的欲求が高まった時は、マダガスカル語で丁寧に言いたければテ・ヒヴアカ「出まーす!」(te hivoaka)、それを覚えるのが面倒な旅行者はフランス語の幼児語でピピ(pipi) 「おしっこ!」とかカカ(caca)「うんち!」と叫べば、まず普通は停車してくれる。が、道中は運ちゃんが王様。ある時女性客が「すいませーん!すいませーん!止めてくださーい!出まーす!」と叫んだにもかかわらず虫の居所が悪かったのか「もう、町が近いからよ」とぼそっと運ちゃんが言い放ち、結局そのまま終点まで30分以上走り続けたこともあるので、このレクラションの時間は有効に使ったほうがいい。え、その女性はどうなったかって?終点に着くと同時に、脂汗流してどこかに走り去りましたとさ。また、北西部のアンツヒヒー(Antsohihy)からマジュンガに向かうスペール型の車内でのある日のこと。その日は珍しく空いていたため、後部座席に横になって寝ていると、走行中に前の方から20代のメリナ系と思しき男性が椅子をよろめくように跨ぎながらこちらにやって来た。何事ならんと起きあがったら、件の男性、なんとガラスのはまっていなかった後部扉の窓から、小用をたそうとしたのである。僕と後部に同じく横になっていた女性がそれに気がつき、二人で「おーい運ちゃん!止まれー!人間はニワトリじゃないぞー!(ニワトリは小便をしない)」と叫んで車を停めてもらった。男性の顔には苦悶の表情が浮かび、明らかに「おしっこ!」の一言が言えなかったわけである。時には、運ちゃんの仮眠に乗客全員が付き合わせられることもあり、そんな時はこっちも寝たほうがいい。タタやスペールは車高が高いので、雨や風の日でもなければ、車体の下に潜り込んで毛布にくるまれば安眠を保証してくれる。

 
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スペール 途中降車客あり(国道32号線マジュンガ州)
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