IV. 市町村(Commune)

  1. 電気
     県庁所在地の市でもない限り、電気の供給はなし。夜間の灯りとしては、ロウソク・灯油ランプを使用。ロウソクと灯油ランプおよび灯油は、県庁所在地の町で入手可。また、月の出ていない夜や雨の降る夜のために懐中電灯は必需品。県庁所在地の町で確実に入手できる乾電池は単一型である。単三型電池の入荷は、単一型ほど確実ではない。町で売られている中国製の懐中電灯はかさばる上電球が暗くまた雨などにも弱いので、日本から単三型電池を使用する準防水型の懐中電灯を持って行くことも勧められる。日本から懐中電灯を持って行く時は、予備の電球を必ず複数持ってゆくことと州都などで単三型電池を多めに買ってゆくこと。明るい分、電球と電池の消耗が早い。また、夜間にトイレに行くことを考え、懐中電灯には紐をつけておくと便利。

  2. 水道
     県庁所在地の市でもない限り、水道の供給もなし。市町村によっては独自に簡易水道を敷設している所もある。井戸または川か池の水を利用。したがって、飲料に用いる時は、煮沸するか浄水剤の<Sur l'Eau>を添加すること。

  3. 燃料
     炭か薪を使用。灯油の入手に苦労しないならば、州都や県庁所在地の町で、灯油コンロを買って持ち込むこともOK。

  4. 医療
     公立の保健所兼診療所が、全てではないが多くの市町村に設置されている。ただし、病気やケガへの対応と言うことでは、簡単な診察ができる程度。したがって緊急の場合、首都や州都の病院まで迅速に搬送してもらう手段とルートを確保しておくことが、大事。

  5. 衛生
     標高1000m以下の市町村は、マラリア感染の危険性がかなり高い。市町村では対処ができないので、マラリア予防薬の定期服用をすると共に、マラリアの治療薬も常に持っておくこと(詳細は、別紙「マラリア日記」を参照のこと)。野菜は、回虫・蟯虫・嚢尾虫・ランブル繊毛虫・アメーバ赤痢やA型肝炎ウィルス・病原性大腸菌による汚染の心配があるので、生食を避けること。ゴキブリとネズミが多いので、日本からゴキブリ用薬剤と殺鼠剤を持参すると役に立つ。日常生活用品の入手は、困難。ノミ・砂ノミ・南京虫・シラミ・ダニなどが多くなってくるため噴霧式や粉状の殺虫剤だけではなく、燻蒸用にバルサ剤を持ってゆくと多少は役にたつ。皮膚に塗る虫の忌避剤やかゆみ止めは自分の肌にあったものを日本から持ってゆく方がベター。また、海岸部の市町村は紫外線が強いので、サングラスと共に日焼け止めクリームを持って行った方が良い。それから、とりわけ雨季は水虫もあなどることができず、また治療薬は日本の方が種類豊富なので最新の物を持ってゆくことがお勧め。ほとんどの市町村は、トイレなし。眼鏡とコンタクトは、日本や首都で事前に用意のこと。
     薬局なし。
     地方になると入手できる食材に偏りが出てくるため、総合ビタミン剤・カルシウム製剤・鉄分や亜鉛やヨードなど微量元素の補助栄養剤などを日本や首都で入手し、定期的に服用し、不足がちな栄養等を補給するよう心がけると良い。特に、虫さされの跡やちょっとした傷がなかなか治らないあるいは鼻血や生理などの出血がなかなか止まらない等々の症状が出てきたら、体内のビタミンや微量元素が不足し始めている兆候なので、要注意!とりわけ長期滞在する女性は、鉄分の不足に気を付けること。  マダガスカルの河川や池沼の一部には、ビルハルツ住血吸虫およびマンソン住血吸虫が棲息しているため、そのような場所での水浴や立ち入りはできるだけ避けること(水に入ると住血吸虫の幼生体が足の皮膚から侵入する)。とりわけ、水草が生えているような止水域は非常に危険。感染による典型的症状は、ビルハルツ住血吸虫が血尿、マンソン住血吸虫が下痢。慢性化すると治療が困難になるため、血尿が出たり、あるいは下痢が続くような場合は、必ず首都や州都の医者の診断を受けること。
      マダガスカル政府機関から狂犬病流行に対する注意喚起が出されている。隊員の方々は予防注射を済ませていることと思いますが、それでも犬はもちろんのこと猫や野生動物にむやみに近づいたり手を出したりしないこと。万が一動物に咬まれた時は、咬んだ動物を捕獲し(生きていても死んでいてもいずれでも構わない)、その動物と共に即刻医師の許に行き手当を受けるか指示を受けること。任地で狂犬病が発生したとのニュースを耳にした時は、外出時長めの棒を杖代わりに持って歩くことも自衛策として勧められる。動物の死体も触らないこと。
     性病はマダガスカル全土において都市部および農村部を問わず、エイズ・梅毒・淋病・軟性下疳・鼠径リンパ肉芽腫等および毛虱があるため、十分にその危険性を考慮の上、行動すること。

  6. 治安
     空き巣泥棒がいないわけではない。家を空ける際には、こまめに扉に鍵をかけること。犬を飼うことができれば、ベター。地方によっては武装強盗団ないし武装牛泥棒団(dahalo ないし malaso と呼ばれる)が跳梁跋扈しているので、昼間でも町の外に出ると危険がある。町の外に出る時は、必ず地元のマダガスカルの人と一緒に行くこと。
     警察署はなし。憲兵隊駐屯所(gendarmerie)がある町もある。
     ここ10年近く、墓を暴きその中に安置されている人骨を盗み出す泥棒が、トゥアマシナ州・アンタナナリヴ州・マハザンガ州などの地域で跋扈している。また、南部や西部では、墓に置かれた彫刻や彫刻の施された柱を盗み出す輩も後を絶たない。そのため、被害に遭っている地元では、よそ者の墓や墓地への立ち入りに神経質になっている。したがって墓や墓地へ行く時は、必ず地元の人と一緒に行くこと。

  7. 通信・コミュニュケーション
    1. 郵便
       郵便局なし。タクシ・ブルースの通道沿いの市町村の時は、タクシ・ブルースの運転手にそのタクシ・ブルースが経由する村や町への手紙を託すことができる。郵便の配達もなし。したがって、このような地方の市町村に住む人は、郵便が届く県庁所在地の町の知人の住所に気付とさせてもらうか、あるいは郵便局に私書箱を開設する必要がある。

    2.  
    3. 電話
       なし。

    4. FAX
       なし。

    5. 小包
       配達業務なし。

    6. インターネット
       なし。

    7. テレビ
       なし。

    8. ラジオ
       首都から発信される短波放送を受信するしかない。県庁所在地の町ではたいてい中国製などのラジカセが、安価に出回っていて、買うことができる。ほとんどの地方の市町村では短波放送しか受信できないので、田舎に住む人は、日本で高性能の短波ラジオを購入したほうが良い。とりわけ、12月から4月までのサイクロンの季節は、天気予報に注意すること。日本語海外向け短波放送も、電波の状態が良ければ、受信可能。地方に赴任する隊員には無線機が貸与されるので、これを使って短波ラジオを受信することが可能。

    9. 新聞
       なし。

    10. 本屋・図書館等
       なし。

  8. 交通
    1. バス
       なし。

    2. タクシー
       なし。

    3. レンタカー
       なし。

    4. 原動機付き自転車・オートバイ
       原動機付き自転車やオートバイはあれば便利な場合が多いものの、首都や州都の町で購入したものを持ち込むしかない。ガソリンの入手は、地方ではしばしば難あり。隊員の場合、自動車・オートバイの所有と運転は禁止されている。

    5. 自転車
       5000円から1万円で中国製などの新品を県庁所在地の町で購入することができる。山間の市町村でない限り、自転車があると便利。

    6. プス
       なし。

  9. 衣料
     市町村では、市のかかる日以外は、入手の機会なし。首都・州都・県庁所在地の町で、事前に購入のこと。蚊帳・寝具なども。

  10. 娯楽
    1. レンタルビデオ店
       なし。

    2. 映画館
       なし。

    3. 催し物
       7月から8月のバカンスのシーズン、12月から1月の年末・年始、4月の復活祭の頃に生バンドを呼んでのダンス大会(bal)の開催されることがある。

    4. ディスコ
       なし。

    5. ジム・スポーツクラブ等
       なし。

    6. 音楽ソフト販売店
       なし。

    7. 美容室・床屋
       なし。

  11. 宿泊
     牛市や定期市の開かれる市町村の場合は、部屋だけの1泊10000FMGくらいの簡易ホテルのある事もある。原則として観光地でもないかぎり、宿泊施設はなし。市町村長に頼んで民家に泊めてもらうか、あるいは教会関係者に宿泊の便宜の提供を頼む。

  12. 買い物

       【マダガスカルの通貨表示について】
     マダガスカルには、マダガスカル・フラン(Franc Malgache、FMGと省略表記)とアリアーリ(ariary)、二つの通貨表示があります。地方でマダガスカル語を用いて売り買いをした時は、相手はこのアリアーリの価格を言ってきますので、注意してください。アリアーリ表示で値を言ってくる時は、もちろん数字もマダガスカル語ですから、数字をしっかりと覚えてください。詳細は、首都アンタナナリヴの項の記述を参照。

    1. 市場(tsena , bazary)
       牛市ないし定期市が、開催される市町村がある。そのような市の日には、県庁所在地等から商人たちが商品を持ち込むため、食料品や衣料品などを買い求めることができる。

    2. 店舗
       常設の店があるかどうかは、地域によってかなり異なる。塩・砂糖・マッチ・ロウソク・灯油・ノート・布くらいまでの日常用品を商う万屋がある場合もある。

    3. スーパーマーケット
       なし。

  13. 食生活
    1. レストラン
       なし。

    2. 現地食堂(hotely)
       タクシ・ブルースが通る街道沿いの市町村には、hotelyのある可能性があるが、それ以外の市町村では、hotelyもなし。

    3. 立ち食い
       牛市や市の日に限って立ち食いの店が出るが、日常はなし。

    4. 自炊
       薪か炭を使って自炊するしかない。灯油の入手が容易な環境ならば、灯油コンロを使うこともOK。米や葉野菜それにトマト、果物などを入手することは容易。タマネギ・ジャガイモ・ニンジン・白菜・レタス・長ネギなどの西洋野菜・中国野菜等は、それらの産地の市町村でなければ、入手することは困難。肉も祭礼などの機会を除けば、ほぼ入手不可。

  14. 金融機関
     なし。

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