II. 州庁所在都市
(Chef de Faritany):Antseranana(Diego-Suarez), Mahajanga(Majunga), Toamasina(Tamatave), Antsirabe,Fianarantsoa, Toliara(Tulear), Taoranaro(Fort-Dauphin)
  1. 電気
     電力水力公社JIRAMAによってほぼ安定供給されている。220V/50hzが多いが、110Vもあるので注意が必要。ソケットも、フランス式二又C型が多いものの、三つ又型もある。日本から家電製品を持ち込む時は、変圧器と交換プラグソケットが必要。日本のPCの多くは240Vまで対応しているが、アダプターからコンセントまでのコードが対応していないので、PCを日本から持ち込む人は同時に対応コードも用意すること。時々突然の停電があるので、PC使用者は注意。また、停電には到らないものの電圧が不安定になることもあるので、PCは直接電源よりも充電池で駆動させたほうが安全。雨季には落雷による停電もあるが、割合短時間で復旧する。とは言え、懐中電灯とロウソクの常備が必要。サイクロン襲来時は、1週間以上停電の続くこともあることを覚悟のこと。2006年頃から停電が各都市で頻発している。それぞれの都市における現在の電力供給事情を、前もって調べておく必要がある。

  2. 水道
     JIRAMAによって安定供給されている。水源は井戸や貯水池や川などと多用であるものの、塩素消毒がなされているため、飲料も可。海岸地域では水道水と言えども、多少の塩分を含んでいるため、洗濯や石鹸の泡立ちが悪い。水道水の細菌汚染が気になる人は、煮沸消毒するか、<Sur l'Eau> の商品名で浄水剤が雑貨店・食料品店でも売られていて簡単に入手できるので、これを添加する。また、マダガスカル産を含めミネラルウォーターは、豊富に出回っている。水道工事等により時々半日くらいの断水があるが、そのような時断水のお知らせは事前にないので、バケツ2杯くらいの水を常日頃から用意しておくと何かの時に役に立つ。雨季は、時々水道水が濁ることがある。また、サイクロンが襲来した時は、何日か断水することも珍しくないので、サイクロンの情報が入った時は、水の汲み置きを用意しておくこと。汲み置きのためには、プラスチックの樽を売っているので、これがベスト。

  3. 燃料
     プロパンガス、電気、灯油、炭が、料理用の燃料。どの燃料とそのコンロも、入手は容易。都市ガスは、なし。電気釜、電子レンジも電気店で入手可。炭と七輪も、プロパンガスが切れた時や、煮込みや焼き物には最適なので、用意しておくと重宝。アンツェラナナ、マハザンガ、トゥアマシナ、トゥリアーラ、タゥラニャルなどの海岸部の都市では、暖房器具は必要なし。逆に標高1500mのアンツィラベでは、6月から9月頃には最低気温が5度をわって霜が降りることもあるので、暖房器具は必需品。

  4. 医療
     国立病院や大学の付属医院が治療の中心となる。キリスト教系の医院もある地域が多い。個人医院もあるが、対処できる事柄は自ずと限られている。日本と同じく国立病院は何時も込んでいるため、比較的空いている個人医院でとりあえずの診断を受け、国立病院における本格治療が必要かどうかを判断してもらうと良い。電話で救急車による搬送を要請することが可能。日本をはじめ外国からの援助で改良されつつあるとは言え、州都における医療水準は首都に比べると全般に落ちる。入院・外科手術は可能でも完全看護体制の病院は、ほとんどない。したがって、どこまで自己の居住地の病院で治療対応が可能かを日頃調べておくことが大切。その上で、緊急の場合、首都アンタナナリヴまで迅速に搬送してもらう手段とルートを確保しておくこと。また、歯科医の技術と設備は、首都に比べてさらに一層劣る。

  5. 衛生
     アンツィラベとフィアナランツアを除く各都市は、マラリア感染の危険性がかなり高い。しかし、病院や薬局ではマラリア治療の体制が整っているので、これらの都市部だけに居住しているならば、蚊帳の使用や防虫剤の塗布など蚊を防ぐ手段だけを講じマラリア予防薬の定期服用をしなくても構わない。
     薬局は市内に必ず複数ある。品揃えも、首都アンタナナリヴに準ずる。
     野菜や果実が豊富に出回っているが、回虫・蟯虫・嚢尾虫・ランブル繊毛虫・アメーバ赤痢やA型肝炎ウィルス・病原性大腸菌・腸チフス・細菌性赤痢による汚染、また残留農薬の心配があるので、生食する際は中性洗剤で良く洗うことを心がけること。特に、皮を剥かずに生食することが基本のイチゴは、要注意!ゴキブリとネズミが多いので、日本からゴキブリ用薬剤と殺鼠剤を持参すると役に立つ。中央高地の町には、州都といえどもノミが多い。噴霧式や粉状の殺虫剤は市販されているが、燻蒸用にバルサ剤を持ってゆくと多少はその被害を防止できる。また、皮膚に塗る虫の忌避剤やかゆみ止めは自分の肌にあったものを日本から持ってゆく方がベター。ノミに咬まれた時は掻かないこと!!!炎症がひどい時は、抗ヒスタミン剤を服用するか抗ヒスタミン剤の入った塗布クリームが有効。一年くらい咬まれまくると次第に身体が慣れてはきます。
     石鹸・歯磨き・歯ブラシ・カミソリ・爪切り・シャンプー・リンス・クリーム・基礎化粧品・洗濯洗剤・中性洗剤・トイレットペーパー・ティッシュ・生理用品・コンドーム等は、<こだわり>がなければ、時々品切れの事があるにしても何とか入手可能。また、海岸部の都市は紫外線が強いので、サングラスと共に日焼け止めクリームを持って行った方が良い。それから、水虫もあなどることができず、また治療薬は日本の方が種類豊富なので最新の物を持ってゆくことがお勧め。
     トイレは簡易浄化槽を伴った水洗式が多いが、民家では溜め坪式も普通。州都の町でも、南部からの出稼ぎの人たちは、トイレを作らない場合もあり。海岸部の町では、水浴室での水シャワーか水浴びが一般的。アンツィラベとフィアナランツアは気候が冷涼なため、温水施設が不可欠。首都アンタナナリヴで紹介した、プロパンガス給湯器、電気式温水器、電極式温水装置の何れかを選択。  マダガスカル政府機関から狂犬病流行に対する注意喚起が出されている。2008年も、南部のIhosy地方で、狂犬による咬傷被害者が複数発生している。協力隊員は予防注射を済ませているが、それでも犬はもちろんのこと猫や野生動物にむやみに近づいたり手を出したりしないこと。万が一動物に咬まれた時は、咬んだ動物を捕獲し(生きていても死んでいてもいずれでも構わない)、その動物と共に即刻医師の許に行き手当を受けるか指示を受けること。動物の死体にも触らないこと。
     性病はマダガスカル全土において都市部および農村部を問わず、エイズ・梅毒・淋病・軟性下疳・鼠径リンパ肉芽腫等および毛虱があるため、十分にその危険性を考慮の上、行動すること。  眼鏡専門店が一軒あるかどうか。したがって、眼鏡やコンタクトの入手と調整は日本もしくは首都アンタナナリヴで行うこと。日本でコンタクトを常用する人も、万が一の時や乾季に埃が多いことを考え、眼鏡を必ず持ってゆくこと。

  6. 治安
     スリ、ひったくりや強盗は、首都アンタナナリヴに比べ少ないが、空き巣泥棒は多い。多額の現金を持ち歩かないこと、ポケット特にズボンやパンタロンの後ろポケットやバックに多額の現金を入れないこと、パスポートや身分証明書、それにクレジットカード類は、現金と別にし、肌身に直接携えることは、地方都市でも心がけた方がベター。銀行で多額の現金をおろしたり、換金したりする時は、とりわけ女性の場合は複数で行き、そこからすぐにタクシーを拾って帰宅することが望ましいことは、首都アンタナナリヴと同じ。市場等に買い物に行く時は、必要最小限の現金だけを財布に入れること。戸締まりは、扉に複数の鍵をつけること。外出時は、こまめに施錠すること。犬を飼うことができれば、ベター。それから、あまり親しくもない人に、自分が家に不在である時間帯や期間を言わないこと。夜間の外出は、複数でまた自動車で移動すること。夜間のプス(人力車)による移動は、やめた方が良い。トゥアマシナとチュレアールでは、プスに乗った外国人の強盗被害も報告されている。夜間外出の際は、警察官による身分証明書の検査もあるので、携帯を忘れないこと。
     電話による緊急連絡を警察署や憲兵隊駐屯所で受け付けている。電話番号は、新聞やテレビに出ている。ただし、警察官の出動を要請するとガイジンの場合には、チップないし特別報酬を要求される事が多いので、その覚悟と心づもりが必要。とりわけ犯罪被害証明書の作成は、<有料>。市内には警察署(comissariat)と憲兵隊駐屯所(gendarmerie)の二つがある。フランスの治安方式に倣っているため、警察は市街地の管轄、憲兵隊は田舎や地方を管轄することになっている。

  7. 通信・コミュニュケーション
    1. 郵便
       郵便局は、市内何ヶ所かにあり。日本との間の航空便の所用日数は、10日から二週間。不着で困る郵便物については、書留(recomande)またはEMS便扱いにすること。航空書簡や定額航空便封筒もあり、それらは切手を貼る必要がないので、地方から日本宛てに通信文だけを送る時は便利。マダガスカルの切手には、マダガスカルの動植物を図案したものがあり、日本での評判が良い。

    2. 電話
       家庭内の固定電話を除くと、公衆電話ボックス・郵便局にカード式電話器が設置されている。ここから日本までの国際電話をダイヤル直通でかけることが可能。ただし、その時は度数の大きいテレフォンカードを複数用意すること。公衆電話ボックスも、稼働率は高い。携帯電話は、ZEIN(旧CELTELL)、ORANGE、TELMAの三社によってサービスが提供されている。日本で言うプリペイド方式携帯電話。身分証明書があれば、簡単に購入することができる。携帯電話からの国際電話の発信と受信の双方が、可能。日本の携帯電話は使用できない(ソフトバンクとDOCOMOの海外ローミング・モデルは使用可能)。携帯電話の通話可能エリアは、市街地に限定されている。

    3. FAX
       一部商店や郵便局などに設置されている。

    4. 小包
       日本と異なり、どこの郵便局ででも小包の発送や受け取りができるわけではない。州都には必ず小包郵便局(Colis Postaux)が一局あり、そこが窓口となる。日本から住所宛てに小包を発送しても、送達状が住所に届くだけで、受取人はその送達状を持って、小包郵便局に出向いて受け取らなければならない。小包郵便局には税関の窓口支所があり、ここで受け取り・発送双方の際に内容物の検査を受ける。小包受け取りの際には、引き渡し手数料が徴収され、また内用品によっては関税を徴収される。所用日数は、航空郵便とほぼ同じ。ただし、EMS便を使うと一週間前後で到着する。日本まで限度いっぱいの20kgで、ほぼ200万FMG、すなわち2万円ちょっと。また、州都によってはDHLも、小包と書類の運送サービスをマダガスカルと海外の間で行っている。マダガスカル国内の何処にDHLの事務所があるかは、DHLのHPから検索のこと。

    5. インターネット
       プロバイダーがあると共に、サイバーカフェも出来始めてはいるものの、インターネット環境は、首都アンタナナリヴに比べだいぶ劣る。ADSL回線の導入が、始まりつつある。

    6. テレビ
       地上波放送局は、RTAやTVMなどの全国放送ネット系とローカル局の複数がある。フランス語番組が多い。ニュースや天気予報は、フランス語とマダガスカル語の二つ。ローカル局のニュースは地元の話題を伝えるので身近な上、方言による番組を製作することもある。

    7. ラジオ
       FM、中波放送、短波放送がある。FM放送局は複数あり、音楽番組が主体だが、地元のニュースやお知らせを伝えるので、情報発信源としての役割は小さくない。中国製などのラジカセが、安価に出回っている。田舎では短波放送しか受信できないので、田舎に住む人は、日本で高性能の短波ラジオを購入したほうが良いかも。日本語海外向け短波放送、電波の状態が良ければ、受信可能。地方に在住する隊員には、無線が貸与されるので、その無線機を使ってラジオ放送を受信することができる。

    8. 新聞
       首都アンタナナリヴで発刊された新聞が、飛行機やタクシ・ブルースで運ばれてくるため、一日かそこら日付が遅れる。また、市内で売られている新聞の種類も数も少ない。

    9. 本屋・図書館等
       本屋は、市内に数軒。雑誌と小中高生の学習書中心で、品揃えは良くない。図書館は、公共図書館があるだけで、本の種類も限られている。古書店は、無いに等しい。

  8. 交通
    1. バス
       料金固定の1500FMG/300ariary(約20円)。車掌に直接現金払い。回数券・カードなし。車輌の種類は、荷車タイプからマイクロバスタイプまで様々。およそ午前6時頃から午後8時頃までの路線運行。夜間は、運行されていない。時刻表なし。系統番号と行き先と経由地が表示されている。途中の停留所で降車する時は、“Misy miala!”「降ります!」とマダガスカル語で降車の意志を表明すること。

    2. タクシー
       メーター制タクシーは走っていない。首都アンタナナリヴと異なり、昼間市内を走るだけならば、ほぼ定額なので乗る前の料金交渉は多くの都市で必要なし。市内を出る時と夜間だけは、運転手との交渉が必要となる。5000ariary札や10000ariaryなどの高額紙幣しか手持ちがない時は、運転手にその旨を乗ってから伝えること。そうしないと、運転手に釣り銭の準備がない場合が、地方都市ではよくある。また、都市によっては、乗客一人につきいくらと言う料金システムなので、それぞれの都市で確認すること。

    3. レンタカー
       車輌本体だけの貸し出しも、運転手付きの貸し出しもある。日借り料金システムと走行距離料金システムがある。保険料とガソリン・軽油代も借り手負担のため、レンタカー代は、日本で借りるのと大差がないほど、高い。車種は、四輪駆動車・通常乗用車・ミニバンなどだが、観光地の都市ほど種類が豊富。

    4. 原動機付き自転車・オートバイ
       原動機付き自転車とオートバイは、新車が購入できる。特に、原動機付き自転車は免許が要らない上、価格も6万円から7万円で買うことができる。ただし、首都よりも運送費がかかっている分、値段は高い。中古車は、個人的つてで捜すしかない。隊員は、車とオートバイの所有と運転は、禁止されている。

    5. 自転車
       5000円から1万円で中国製などの新品を購入することができる。海岸部の都市では、自転車があると便利。

    6. プス
       人力車のこと。二人乗り。多くの都市で市内の手軽な足として利用されている。料金は人力車の車夫との交渉。料金は、距離・乗車人数・時間帯・目的地までの道の状態などによって異なる上、<ガイジン>の場合はかなりふっかけてくるので要注意!その都市のタクシー料金の半分から三分の一が目安。プスは夜間でも営業しているが、夜間のプスの利用は、トゥリアーラやトゥアマシナでは強盗被害防止のため避けたほうが良い。

  9. 衣料
     中国製・マダガスカル製の衣料やマダガスカル製・タイ製・インドネシア製・インド製の布地が出回っており、安価で実用には問題なし。仕立屋さんやお針子さんもいるので、オーダーも可能。アンツィラベとフィアナランツアでは、防寒の役割を果たす衣料が必要。それ以外の都市では、6月から9月の間でも、防寒のための衣料は必要なし。ただし、一日の気温の差が10度以上あるので、重ね着をして体温の調節をはかる事が大切。寝具として毛布は必需品。海岸部の町でも、5月から9月頃までは朝の最低気温が20度を割る。逆に雨季は、海岸部の町ではシーツないしバスタオル1枚で十分。

  10. 娯楽
    1. レンタルビデオ店
       仮設店舗のレンタルビデオ店が、あったりなかったり。

    2. 映画館
       なし。映画は、テレビで放送されるものを見るしかない。

    3. 催し物
       催し物の情報は、地元FM局のお知らせのコーナー、町に貼られているポスターから得ることができる。7月から8月のバカンスのシーズン、12月の年末、4月の復活祭の頃に有名ミュージッシャンのコンサートが開催されることが多い。

    4. ディスコ
       市内に常設のディスコが必ず何軒かあり。マハザンガ、アンツェラナナ、トゥリアーラなどはディスコが盛ん。マダガスカル全体の傾向として、生バンド演奏の行われるディスコはごく少数。ディスコで流される曲は、アメリカやヨーロッパのポップ、アメリカの黒人ヒップホップ、カリブのレゲエ、アフリカのリンガラ、マダガスカルのダンス音楽と幅が広い。入り口でチケットを買い、それがワンドリンクとセットになっているシステムが多い。ディスコの開場は午後10時、人が集まってくるのは11時以降、最盛期は午前1時頃。週末の金曜日と土曜日以外は、バカンス・シーズンでもない限り閑散としていることも多い。ディスコの周囲には、深夜でも必ずタクシーが待っているので、帰りの足を心配する必要はない。服装コードはなし。

    5. ジム・スポーツクラブ等
       ジムやフィットネスクラブが、ぼつぼつとでき始めている。かつては公設のプールがあったが、今ではホテル併設のプールを料金を払って利用するしかない。空手の道場やクラブは、必ずある。柔道のクラブがある所も。公共のスポーツ施設の利用については、各州都のスポーツ・青年省(Ministere des Sports et Jeunesses)の支所に問い合わせてみると良い。

    6. 音楽ソフト販売店
       電気店や雑貨店で他の商品と一緒に売られている状態。ソフトの数は、首都アンタナナリヴに比べれば圧倒的に少ない。ビデオやVCDと一緒に違法コピーないし中古のCDやカセットを売る店も少数ながら、ある。

    7. 美容室・床屋
       美容室も床屋もあるが、首都アンタナナリヴに比べ数は少なく、また技術も今一つ。特に美容室の料金は使う用具や素材が首都からやってくるため、首都アンタナナリヴよりも高い。

  11. 宿泊
     市内には、上から下まで各種のホテルあり。安いホテルは、トイレとシャワーが共同。一泊800円くらいのホテルから、室内にトイレとシャワーが完備する。2000円くらい出すと、クーラー付きの部屋になる。VISAカードで支払いのできるホテルもある。

  12. 買い物

       【マダガスカルの通貨表示について】
     マダガスカルには、マダガスカル・フラン(Franc Malgache、FMGと省略表記)とアリアーリ(ariary)、二つの通貨表示があります。首都アンタナナリヴの項の記述を参照。

    1. 市場(tsena , bazary)
       市内には複数の常設市場がある。首都アンタナナリヴのように、一週間に一回市の日の決まっているフィアナランツアのような都市もある。<大きな市場>(Bazary be)と<小さな市場>(Bazary kely)の二つに別れている所も多い。これは、フランス統治時代の名残。すなわち、フランス植民地時代、<大きな市場>がフランス人および外国籍の人間のための市場、<小さな市場>がマダガスカル人のための市場だったわけ。その名残か、<大きな市場>は町の繁華街の中心に位置するものの、あまり品数は豊富ではなく値段も<小さな市場>に比べて高め。<小さな市場>は庶民街の近くにあり、何処の町でも、こちらのほうが品数も多く賑わっており、また値段も安い。日常の食料品は、ここで入手可。現金取引。値切り交渉(miady varotra)の必要な都市もあるが、地方都市の場合は言い値で買う習慣のところも多く、言い値で買う場合とりわけ食料品を少し多く買った時は、cadeau(ほとんど ガドゥ と発音する)すなわち<おまけ>をもらう。首都アンタナナリヴほどではないにしても市場にスリが居ないわけではないので、お金と携帯電話には注意。

    2. 店舗
       市内の各所に食料品店や雑貨店があるので、塩・砂糖・食用油・マッチ・ロウソク・灯油・パン・チーズ・コンデスミルク・中華乾麺・マカロニ・トイレットペーパー・ミネラルウオーター・清涼飲料・ビール・ラム酒・電球・蚊取り線香・乾電池・封筒・学用ノート・ボールペンなどの日常用品を手軽に買うことができる。また、ガソリンスタンドに併設されている店も日本のコンビニほどまではゆかないにせよ飲料と食品を中心に生活必需品を揃えている。衣料品の専門店も必ずあるが、既製品は市場の周囲の露店や仮店舗の方が品数豊富。電気店もあるが、冷蔵庫やテレビ・ラジカセ・ミニコンポなどが主要商品で、小物の電化製品の品揃えが悪い。寝具については、ベッドを家具店か市場で、マットレスや毛布等を衣料品店か雑貨店で購入可能。

    3. スーパーマーケット
       スーパーマーケットは、全てではないにせよ多くの都市にあるが、商品の種類と数は、首都アンタナナリヴに及ぶべくもない。

  13. 食生活
    1. レストラン
       州都の都市には、ほぼフランス料理・中華料理・イタリア料理三種類のレストランがある。あるいは、ホテルのレストランがその町で一番上質で高級なレストランの事も多い。海岸部の都市のレストランの中には、内陸のアンタナナリヴでは入手の難しい新鮮な海産物を上手に使った美味しい所もある。地方とはいえど、レストランでの食事の際には、チップが必要。レストランの料理の値段は、地方だからと言って、首都アンタナナリヴよりも安いとは限らない。

    2. 現地食堂(hotely)
       Hotelyは必ずあるが、首都アンタナナリヴほど多くはない。だいたい、その町の市場の中か周囲あるいはタクシ・ブルースの発着所近辺に集中している。

    3. 立ち食い
       ムフを中心とした軽食系、ご飯とおかずの定食系、串焼き肉系の三に大別されることは、首都アンタナナリヴとほぼ同じ。海岸部の都市では夜間の気温が一年中高いため、串焼き肉の露店(tsaky ,tsakitsaky)が夕方から夜半にかけて賑わう。

    4. 自炊
       市内でのプロパンガスコンロや電気コンロあるいは灯油コンロ、七輪(fatam-pera)の購入は可能であり、また電気釜も電気店や雑貨店で売られているので、炊事道具を揃える上での問題はあまりない。材料は、上述の市場あるいは各地区の小さな青空市場で調達。日本米(ジャポニカ)は、ほぼ入手不可能。米は、市場でも露店でも雑貨店でも売られている。国際稲作研究所が開発した高収穫品種系統(IRI-8号やIRI-16号など)は、あまり味が良くはないものの短粒の白米で、疑似日本米食感な上、入手が容易。米の食感を良くするには、洗米の前に選別を入念にすることが効果大。石や籾などの異物を取り除くことはもちろん、欠けた米などを取り除いて、粒を揃えるとぐっと食感が良くなる。ただし、インディカ米は冷えると食味が落ちるので、冷や飯の好きな人は、注意。日本から材料を送ってもらわないと、州都くらいの町でも和食を作ることは調味料やだしなどの調達の関係で難しい。

  14. 金融機関
     BNI-Credit Lyonnais Madagascar (BNI-CL) , BFV-SG , Bank of Africa(BOA 以前の BTM)の三行に加え、Banque Malgache de l'Ocean Indien (BMOI) の支店が設置されている都市もある。各金融機関では外貨の換金ができるが、円札の換金は首都よりもむしろ容易。TCの換金に際しての、発行時の番号控え書の提示要求も首都ほど厳格ではない。現金自動支払機が設置されている銀行と都市もあり、BFV-SGとBNI-CLの場合には銀行カードによる引き下ろしができる他、VISAカードでのキャッシングが可能。また、これらの銀行では、窓口でも身分証明書とVISAカードを添えて出せば、同じようにキャッシングができる。
     日本からお金を緊急に振り込み受け取る必要がある時は、送金専門会社Western Unionを利用すると安全・確実・迅速。日本でWestern Unionの業務は、スルガ銀行が代行しているので、スルガ銀行のHPを参照のこと。東京では日本橋と渋谷に、支所がある。Western Unionを用いてマダガスカルに送金すると、数十分後にはマダガスカルで現金を受け取ることができる。送金は邦貨になるが、受け取りはマダガスカル・フランでしかできない。Western Unionのマダガスカルにおける窓口は、BFV-SG・BNI-CLおよびCaisse d'Epargne Madagascar(マダガスカル貯蓄銀行)など各所にあるため便利。マダガスカル向けに送金されたお金は、マダガスカルのWestern Union の何処の支所や窓口でも受け取ることができる。送金を受け取る際には、身分証明書・送金番号(送金した時に払い込み人に渡される書類に記載されている)・質問と答え(自分の名前でも送金人の名前でも何でも良い)の三つが必要となる。ただし、送金手数料は通常の銀行口座宛て振り込みよりも高い(スルガ銀行によるWestern Union業務の代行は、2009年1月末日までなので、要注意!)。
     また日本の各郵便局から国際送金為替を使って、住所宛ての送金も行うことができる。口座宛て送金はできない。郵便局のある都市や町だったら何処でも送金可能。送金から受け取るまでの日数は航空便の所用日数と同じ。州都で2週間から3週間、地方都市で3週間前後である。送金手数料は、一律1000円と安い。

前のページへ 3 次のページへ
|このウィンドウを閉じる|