日本で作ろう!マダガスカル料理 第10回
マカンバ・シ・ポムドゥテール(Makamba sy Pomme de terre)の巻
『マダガスカル研究懇談会ニュースレター Serasera』2006年 第14号 pp.11-12 掲載
1.用意するもの(4人から6人分)
  1. エビ(生でも冷凍でもどちらでも可 無頭でも有頭でもお好み次第)
  2. ジャガイモ  4個から5個
  3. ニンニク 1個
  4. 完熟トマト2個から3個(湯剥きトマト缶詰での代用も可)
  5. 玉葱   1個
  6. 生姜   1個
  7. 食用油  少々
  8. 塩 小さじ 一杯半
  9. 深めの鍋
  10. 水 
  11. 大根おろし器
2.料理方法
  1. 玉葱の皮を剥き、みじん切りにします。へたの部分を取ったトマト1個を4つくらいに切ってから、種子の部分を手で揉み潰すようにして除きます。マダガスカル料理の場合、トマトの薄皮を湯剥きする必要はありません。季節的に甘い完熟トマトを入手しにくい時は、市販の湯剥きトマト・ホール缶詰を使っても構いません。ニンニクは薄皮を剥いでおきます。
  2. ジャガイモを茹でて、皮むきをします。それから大きなジャガイモの場合には、一個を四つに、小さなジャガイモの場合には、二つに切り分けます。
  3. エビの殻を剥きます。有頭のエビの場合、頭をとるほうがマダガスカル式ですが、お好きな方は、有頭でも構いません。背腸が付いている時は、包丁で切れ目を入れて、取り除いてください。
  4. 鍋に、食用油を入れ加熱します。油の量は、鍋の底に一面に油が広がり溜まるくらいを目安とします。
  5. 加熱した油から少し白煙が上がり始めたら、まずみじん切りにした玉葱を入れ、焦がさないように気を付けながら中火でよく炒めます。この時、油がはねますので、やけどしないように注意してください。玉葱が少ししんなりとしてきたら、トマトを加えて、同じように炒めます。
  6. 炒めていた玉葱とトマトがペースト状になったところで鍋に水を加え、次ぎにジャガイモを入れます。水の量は、ちょうどジャガイモ全体が三分の二くらい水の中に隠れるくらいが、適量です。
  7. 加えた水が再度煮たってきたら、エビを入れます。
  8. 次ぎに、ニンニク1個の六分の一くらいの量を大根おろし器ですりおろして、入れます。生姜を少々、これも大根おろし器ですりおろして加えます。マダガスカルでは、市場で売られているミニチュアのような臼と杵を用いて、ニンニクや生姜を摺り潰します。生姜はエビの生臭さを消すために加えるものですので、入れすぎないように注意してください。
  9. エビの少し生臭い匂いが消え、エビとトマトとジャガイモが一体になった甘い匂いになるまで煮込みます。
  10. ジャガイモは既に茹でてありますので、煮込みはあくまでもエビの味をジャガイモに染み込ませるためのものです。
3.ここがポイント!
  1. エビは、店頭でブラックタイガーやホワイトなどの名前で売られている冷凍もので構いません。もちろん、材料費が高くなってしまいますが、車エビや大正エビなどの活きたものや生のものを使うことも良いでしょう。マルハの合弁会社SOMAPECHEがマダガスカルで漁獲したエビが、都内の一部スーパーなどで販売されていますので、これを入手することができたら、マダガスカルで作る味により近くなるかもしれません。
  2. さっぱりした味よりもごってりした味にしたい時は、最初に加える油の量を多くし、玉葱とトマトをその油で炒めた段階でエビを先に投入します。エビをそのソースでよくからめてから、水を加え、最後にジャガイモを入れます。またその時の水の量は、少なめにします。
  この料理の名前マカンバ・シ・ポムドゥテール(Makamba sy Pomme de terre)とは、「エビとジャガイモ」の意味です。マカンバ(makamba)は、マジュンガ州やディエゴ・スワレス州の方言で、日本でブラックタイガーやホワイトの名前で販売されている大きさのエビを指します。マングローブ林の発達した河川の多いマダガスカルの西海岸一帯は、かつてはこのような天然エビの宝庫でした。
1980年当時、マジュンガのSOMAPECHEのエビ獲り漁船で働いていた日本人の船員の方が、1970年頃は、マジュンガの町の港に停泊していた漁船の錨の鎖に天然のエビが列をなして登ってくるくらいたくさん居たものだったと話しをしてくださいました。現在では天然エビの漁獲は激減し、代わって西海岸ではエビの養殖事業が盛んになりつつあります。そのため、大型エビのマジュンガの町の市場での価格は、同じ1kgをとった場合、豚肉や牛肉よりも高いものになってしまいました。1980年以前には、Serasera 第6号で紹介したマングローブ・カニdradrakaと共に、エビはマジュンガ市内の家庭のごくごく普通の食材でした。国際市場における取引の対象とはほとんどなっていないカニは依然として庶民の家庭の素材ですが、エビは次第に庶民の食卓からは消えつつあります。この<エビとジャガイモ>の料理法も、エビの価格が高騰してから後、少ないエビでたくさんのおかずを作るために生み出された、比較的新しい<マダガスカル料理>かもしれません。とは言え、素材の組合せがどんな未体験の味を生み出すかの良い見本である上、日本では価格も手頃、料理の手間もかからないマダガスカル西海岸都市部の家庭料理の味に、チャレンジしてみてください!
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