3月23日(金):よく眠れたが真夜中に目が覚める 悪寒 毛布を被ってふるえている 一時間ほどで悪寒がおさまり今度は身体が火照ってくる 40度を超えている体感 1時半に起きて小便をし水を飲む 4時にセデス服用 しばらくして汗が出る 5時30分検温39・1度 抗生物質シンクルキャップを服用 登山用リュック一つの荷物をつくり6時30分に村を出発 少年二人に町までリュックを持ってもらう それでも、鼓動と呼吸は荒く、胃腸はむかむかし、膝はがくがくし、顔は火照り、加えて全身の倦怠感のため、1kmぐらい歩いては10分ぐらい横になることを繰り返す もともと村と町の間に交通機関はないものの、雨季末期のこの時期、道は水と泥濘で一段と通行に困難をきたす サレッテイ(牛が曳く荷車)を村人に依頼しなかったことを後悔 9時すぎにタクシー・ブルースの発着所のある町に着く 知人の家に立ち寄り粉ミルクをお湯に溶いたものとお茶を飲ませてもらう 固形物を食べる気にはなれない 12時すぎにシンクルキャップを服用 体感上は42度くらいに思え、座っていることさえだるく商店の軒下のコンクリートのたたきに横になってタクシー・ブルースを待つ 周りで人々が「この外人、臭いね」などと話をしている(ほぼ一週間寝たきりで水浴はおろか汗をかいた衣服等を洗濯することもできなかった) 1時25分ようやくアンツヒヒーの町に行くスペール型のタクシー・ブルースが出発 窮屈な車内では前席の背もたれに頭をもたれかけて肩で息をつく 途中、雨水の貯まった道路の陥没箇所では数回乗客全員が車を降りることになり、乗降そのものがひどくしんどい 3時45分アンツヒヒーの町に到着 下宿先の家族の身内の家に投宿 その身内の男性にラヌンアンパングと冷水を貰い一息を着くとともに、マハザンガ行きの航空機の座席予約をしてきてもらう 床を延べて貰い倒れ込む 二度便所に行く そのうち一回は下痢 7時夕食 海魚の干物のスープ このおかずとご飯を食べることができない ラヌンアンパングを取った後の柔らかいお焦げ飯を少し食べる 食後に食べたオレンジが美味しい
  3月24日(土):夜はよく眠ることができたため、目覚めてからは少し気分が良い 朝食なし 12時昼食 アナマファーナと白インゲンのスープ このおかずとご飯は食べることができず、お焦げ飯に砂糖をかけて少し食べる オレンジを食べ、買ってきてもらったレモンでレモネードを作って飲む 期待したほどにはレモネードが美味しく感じられない 一日横になっている 手首や肘の内側またこめかみに触れても脈が殆どとれない 7時夕食 お焦げ飯だけ食べる 移動中のため、一日検温せず
  3月25日(日):0時くらいまでぐっすりと眠れる その後、蚊のため一睡もできず 小便をしたり、水を飲んだり、シンクルキャップを服用したりする 7時30分起きて顔を洗い、ニヴァキン3錠を定期服用 オレンジを2個食べ、朝食の代わりとする 下痢 セデスを2錠服用 9時10分身内の男性とともにタクシーで空港に向かう アンツヒヒーの町からマハザンガの町までは、道のりにして452km、直線距離でおよそ200km、双発のプロペラ機ツウィン・オッターでほぼ40分のフライト 空港に荷物の計量用のはかりがあったので体重を測ってみる 身長175cmで56・5kg マダガスカル出発前とでは16kg、村に定住する前とでも8kg近い減少である 11時50分飛行機離陸 機内でただ座席に座っていることさえも耐え難く辛い 40分ばかりのフライトがとてつもなく長い時間に感じられる 窓にもたれかかりひたすらマハザンガ空港に早く着くことを念じる 12時30分マハザンガ空港到着 荷物を受け取る間に空港内のカウンターでよく冷えたコカコーラを飲み干す えもいわれない美味しさ 1500FMGの言い値を1000FMGに値切って空港からタクシーを拾い、マルラカにある(当時の)大洋漁業の船員宿舎に向かう 1時5分にマルラカの船員宿舎に着く しかし、宿舎内にはガルデイアン(警備員)の男性数名しかいない 2時すぎに女中さんたちがやってくる 疲労困憊し広間のソファーに身を横たえながら大洋漁業の関係者の方が来られるのを待つ 5時半に大洋漁業の駐在員の森本さんと加瀬さんが宿舎にやってくる お二人とも私の姿を見るやいなや驚きの表情を顔に浮かべたことがわかる(それから後、マハザンガ州の山の中から私が歩いてやってきたとか中国人とマダガスカル人の混血の乞食がやってきたと思った等の伝説が大洋漁業を中心とする在マ邦人社会内部に流布する) 風邪をひいてどうにもならないので快復するまで船員宿舎で休ませて欲しい旨を伝える しかし、すぐに、もう一人の駐在員の向井さんと三人で私を、個人診療室を開いているマダガスカル人医師の許へと連れていってくれる 医師が来るまで一時間近く待たされ、その間イスに座っていることが苦痛で、庭の芝生の上に横になってしまいたくなる 医師は問診と触診の結果、マラリアとの診断を下す 医師は、マラリアの薬の処方箋を書いてくれたうえで、水分を十分に摂るようにと注意を与えてくれる また、公立病院の設備と医療体制は劣悪なためそこに入院するよりも、そのまま船員宿舎に宿泊して注射や投薬を受けるようにともアドヴァイスしてくれる すぐに森本さんたちが車を走らせ、市内の薬局でキニマックス(キニーネ製剤)の注射薬・ニヴァキン・アスピリン・経口ビタミンアンプル薬を買い求めてくれる 医師のもとで、キニマックスの注射を受ける 宿舎に戻り、砂糖を入れコンデスミルクをお湯に溶かしたものを夕食代わりにつくってもらい飲む アスピリンと経口ビタミンアンプル薬を服用 二階の一室に女中さんがベッドをしつらえてくれたが、貧血のような立ちくらみを覚え一階から二階へと階段を一歩一歩立ち止まるようにしてようやくのことで上る 9時30分床に就く 長い一日
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