物質文化
村 :村は柵によって防御され、家屋は近親毎の集団に固まっている。
家屋:四角形でかなり大きいが、寝台などの家具はない。
※ 以下 13ページに続く

図1 リントンによるマダガスカル文化領域区分
出典:R.Linton, 1928. “Culture areas in Madagascar”,
American Anthropologist, vol.30 no.3, p.364.
東海岸領域・高原領域・西部海岸−最南部領域の三つの基本的文化領域を設定し、Antanosyを東海岸領域と西部海岸−最南部領域の混合領域に、 TanalaとBezanozano を高原領域と東海岸領域との混合領域に、TsimiheyとAntankaranaを東海岸領域と西部海岸−最南部領域の混合領域に区分している点に、リントンの特徴がある。

図2 マダガスカル島の気候区分図
出典:Ken Preston-Mafham, Madgascar a natural history, 1991,
Oxford: Facts On File Ltd., p.218
マダガスカル島の気候区分については、細部において異同があるものの、5から6の領域を区分する説が一般的である。この本の著者のPreston-Mafihamは、年間平均気温と年間降水量とをマトリックスして、11の気候区分を設定している。

図3 マダガスカルの方言区分と中央方言話者の拡大
出典:Bakoly DOMENICHINI-RAMIARAMANANA, Le Malgache Essai
de description sommaire, 1977, Paris:SELAF, p.6.
バクーリは、中央方言・東南部方言・南部−西部方言・東部方言・北部方言の5方言群を設定している。リントンの文化領域区分と対照させると、バクーリの方言区分では、<東海岸>領域の中に東南部方言が別個に設定されていることに特徴がみられる。
農耕:米、トウモロコシ、タロイモ、サツマイモを栽培。稲作においては苗代を作らず、穂刈りを行い、穂のまま貯蔵する。
家畜:牛、ニワトリ、ガチョウを飼育。豚、山羊、犬は知られてはいたが、多くの部族においてその飼育は禁忌とされる。牛は経済的には重要ではないが、富の象徴とされている。牛とニワトリだけが、供犠に用いられる。
衣裳:男性の服は、袖のない膝の上までとどく上着から成る。南部では、もともとは脇空いたポンチョだったと言われている。この上着は、身体にあわせて作られ、ポケットが付いていることもある。腰布は、巻かない。女性は、脇からくるぶしットもついた幅広のベルトによって固定されている。歩く際には、裾は、ベルトまでのまっすぐな筒状の布を纏っている。この布は、胴の真ん中で編み物のポケットの中に折り込まれる。ブラウスやのない短いジャケットも、現在では用いられているが、新しいものであろう。男女とも、編んだぴったりとした縁のない帽子をかぶる。服は、北部ではラフィア布から、南部では細かな柔らかい編み物からできている。樹皮布は、主に男性のベルトに用いられるが、時には服にも用いられる。全ての既婚女性は、赤ん坊覆いを用いる。赤ん坊覆いは、小さな編み物で作られ、首に通した紐で背中に吊しておき、背中に背負う際に赤ん坊を覆う。
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