趣旨

本研究の趣旨

本研究は、イスラーム史を再考するために、歴史上のイスラーム国家の王権と正統性を、再考しようというものである。

具体的には、近世イスラーム帝国(オスマン、サファヴィー、ムガル)を視座に据え、王権と正統
性について、アッバース朝等との比較研究を行い、古典的なイスラーム史の書き換えを目指すも
のである。イスラーム国家の王権と正統性に関しては近年さまざまな個別研究が現れているが、
大枠に関しては古典的なイスラーム史――すなわち、ムハンマドからカリフを中心にアッバース
朝から現代まで単線的に描かれる歴史――が依然として残っている。これに異議を唱え、トルコ・
モンゴル的要素やペルシア的要素を含んだ複数の要素を含んだものとして、イスラーム史を再構
成する。全国に散っている関係する研究者を糾合し、精緻な個別研究を比較研究によって、より
大きな文脈に載せるとともに、方法論の刷新を図る