<スラウェシの民話> 次のお話

ヤシの木バラロゴドとウヘイティネンデン

〜美しい兄妹〜

バンティック語テキスト提供:内海敦子さん 

 

バラロゴドとウヘイティネンデンという、美男美女の兄妹がいました。

バラロゴドはある時、花嫁を探そうと思い立ったそうです。
しかし彼は、自分の妹と同じくらいきれいな女性を見つけようとしていました。
彼はあらゆる場所を探し、あらゆるところに足を運びましたが、妹と同じようにきれいな女性は見つかりませんでした。

ついに彼は、妹のようにきれいな女性を見つけました。
しかし、彼はその女性を花嫁にはしませんでした。
彼女が売春婦だったからです。

バラロゴドは家に帰りました。
家に着くとすぐ、バラロゴドは妹のウヘイティネンデンを探しました。
妹が結婚すると聞いたからでした。
カルンサゲデという男と結婚し、ここから遠く離れたところに行ってしまうというのです。

バラロゴドは妹に会うとすぐに言いました。
「ちょっと話があるんだけど。もうすぐカルンサグデと一緒に行ってしまうんだってね」
「兄さん、先に家に帰っていてくれないかしら。髪を洗ってしまいたいの。そしたら二人で話をしましょう」

ウヘイティネンデンが髪を洗っている間、ふと、悪い考えがバラロゴドの頭に浮かびました。
妹は、兄に無理やり関係を結ばされてしまったのです。
本当の兄妹であるのに、と震えていた妹の言葉に、バラロゴドは耳を貸しませんでした。

そのことを妹は大変に悔いて、両手を天に差しのべ、涙をながしながら叫びました。
「二人を見守っていてくださる神様、私たちが乗っている舟が沈んでしまうよう(註)、どうか雷を落としてください」

突然あたりが暗くなって、ウヘイティネンデンの望みは叶えられました。
ウヘイティネンデンとバラロゴドの体は、徐々に石像になっていきました。

二人は石像になり、マングローブの木々に囲まれました。

 

(註)この物語の語り手によると,「私たちに罰を与えてください」という意味のメタファーだそうです。

 


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