特任研究員
東京外国語大学
アジア・アフリカ言語文化研究所
〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1
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研究テーマ:北アフリカ史、境域
一般に「大航海時代」といった時想起されるのは、コロンブスやマゼラン、若しくはアメリカ大陸や喜望峰といった言葉でしょうか。私が研究しているのはこの「大航海時代」の北アフリカ、特に現在のモロッコに当たる地域の歴史です。15世紀の初頭にポルトガル人は海外への征服活動を開始します。その最初の攻撃対象となったのがモロッコ地域で、一時はポルトガル人が沿岸部の大半を支配下に収めることになります。その結果、ムスリムとキリスト教徒の支配領域が流動的な境界線を挟んで接する地域が各地に誕生します。このような地域は「境域」と呼ばれます。この「境域」で、キリスト教徒とムスリムはどのような関係を取り結んだのでしょうか。また、異教徒との隣在関係は、ムスリムの社会や政治にどのような影響を及ぼしたのでしょうか。この問題に、アラビア語とポルトガル語の文献を中心に用いて取り組んでいます。
モロッコ地域のポルトガル人らによる支配は、ムスリムの反撃を受けて16世紀中には大幅に衰退します。その後20世紀になると、この地域は、今度はフランスの植民地としてその支配下に組み込まれることになります。すると反植民地のナショナリスト活動家たちは、16世紀の反撃の歴史を彼らの抵抗運動の先例と解釈し、モロッコのネイションとしての連続性を主張するようになります。この過程を史学史的な立場から明らかにすることが、最近の課題の一つです。
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