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大川 真由子

在職期間:2010年10月~2013年3月

研究機関研究員,博士(社会人類学)

東京外国語大学
アジア・アフリカ言語文化研究所
〒183-8534 東京都府中市朝日町 3-11-1

Email: mokawa[at]aa.tufs.ac.jp

個人ウェブサイト: http://fieldnet.aacore.jp/wiki/利用者:大川真由子

研究テーマ:社会人類学,中東地域研究,帰還移民研究


「帰還移民の人類学」という新しい領域を開拓したい

意外と知られていないことですが,オマーンはかつて東アフリカやインド亜大陸に「植民地」をもつ海洋帝国でした(「植民地」としたのは当人たちが植民地と認めていないためです)。そのため,現在のオマーンはインド系,アフリカ系,ペルシア系など多様な民族のエッセンスが混じり合い,中東のなかでも独特の雰囲気があります。わたしがここ10年ほど研究してきたのも,本国の植民地活動を契機に東アフリカに赴き,1970年以降本国オマーンに帰還した人びと。その多くがアフリカ人との混血でスワヒリ語の会話能力や知識をもっています。オマーンで生まれ育ったネイティブ・オマーン人とは異なった経験や記憶(とくに東アフリカでの植民地経験や奴隷制など)をもつ彼らのアイデンティティの形成過程を,わたしはこれまで人類学的に研究してきました。ひとくちに帰還移民のアイデンティティといっても,その形成過程にはエスニシティ,国民統合やナショナリズム,ネットワークといった様々な要因が絡み合っており,広がりのあるテーマだと思っています。

最近取り組んでいること:

アフリカ系オマーン人という中東での事例を,帰還移民研究全体の中で理論的に位置づけることが当面の課題です。従来の帰還移民研究で主流だった「出稼ぎ型帰還移民」に対し,アフリカ系オマーン人を「入植型帰還移民」と捉え,日本の引揚者や植民地から戻ったヨーロッパ系移民との比較民族誌的な研究をめざしています。「帰還移民の人類学」という領域の開拓をすべく,まずは若手研究者らと勉強会を立ち上げたところです。


研究プロジェクト:


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