研究機関研究員
東京外国語大学
アジア・アフリカ言語文化研究所
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研究テーマ:南アジア史,インド洋の港市,異文化間交渉
古来からインド洋海域の沿岸部を中心とする地域はそれぞれ海上交通で結びつき,ヒトやモノ,知識の交換を通じて相互依存的な世界を形成してきました。その中で,港市は交換の場として海上交易において中心的な役割を担い,さらには多種多様なエスニシティを持つ人々が混在・交流する場ともなりました。インド洋海域沿岸地域の歴史の中で,とりわけ,ポルトガル人をはじめとしたヨーロッパの人々がインド洋に進出した15世紀末以降の時代には,彼らと在地の商人たちが競争を繰り広げ,インド洋交易が一層繁栄・成熟したとされています。一方で,以前よりも武力による衝突が増加し,それまでの「自由で安全な」インド洋に「武力による支配」という考えが持ち込まれた時期でもあると考えられてきました。私は,このように,様々に異なる信条,宗教,背景をもった人々が,時に対立しつつも,どのようにうまく折り合いをつけて共存し,繁栄を創出してきたのかということを,港市という場に注目して研究しています。
港市において円滑な交易活動が実施される前提として,治安の維持や紛争の解決のために政治権力が担った役割について,ムガル朝下の港市スーラトを事例として研究を進めています。また,近世期にインド洋に進出してきたヨーロッパ人が,同海域の海上交通に関して敷こうとした通航規制が実際にどれほどの影響力を持ったのか,規制に対して在地の商人や政権がどのような反応を見せたのかということを考察しています。
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