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藤波 伸嘉

研究機関研究員,博士(学術)

東京外国語大学
アジア・アフリカ言語文化研究所
〒183-8534 東京都府中市朝日町 3-11-1

Email: fujinami[at]aa.tufs.ac.jp

個人ウェブサイト:

研究テーマ:近代オスマン史


より多元的なオスマン社会の探究に向けて

オスマン帝国は多民族多宗教国家でした。そのこと自体は広く知られていますが,しかしその中の非トルコ要素,非イスラーム要素について,これまで必ずしも充分に研究が進んできたとは言えません。ですが,トルコ人やムスリムの視座からは抜け落ちてしまうような領域,あるいはムスリム官人の手に成る年代記や国家の公文書からは必ずしも見えてこない領域も,オスマン社会には確かに存在していました。近世以来,西欧人はオスマンを「トルコ」や「イスラーム」として表象し,翻ってそれが現在に至るまで,西欧人や日本人のみならず,当の旧オスマン後継諸国の人々の歴史認識にも影響を及ぼしています。私は長いオスマン史の中では極めて短い時期,20世紀初頭を専門としていますが,世界史全体に及ぶできるだけ広い視座から,オスマン社会の多元性を描き出すことで,近現代世界史全体の再構成に取り組んでいきたいと考えています。

最近取り組んでいることは?

最近はオスマン正教徒に興味を抱いています。19世紀を通じ,正教徒はオスマンの社会経済において卓越した地位を有し,その結果,政治権力にも少なからぬ影響を及ぼしていました。私は,正教徒共同体内部の政治過程の分析から,彼らの思想や権力の在り方を明らかにしようと努めているところです。並行して,それを含む自らの国制をムスリム知識人が如何に認識していたかを探るべく,近代学知の展開についても調べています。


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