AA研共同研究プロジェクト
多言語状況の比較研究 (jrp000157)
プロジェクトについて
期間:2008-2010年度
かつてグローバル化による世界の言語的文化的均質化が語られ,それに対抗する形で少数言語の保護,危機言語の救済が叫ばれた。しかし世界は考えられたように言語的均質化に向かうのではなく,むしろグローバル化は世界の多言語性を顕在化させつつある。国民国家の形成と国語の創生が消滅させるかに思われた言語問題は,再び諸国と諸国間において無視できない位置を占めつつあるのである。
従来,多言語状況の管理を目的とする言語政策をめぐる議論は,基本的に一国レベルで取り上げられてきたが,一方ではグローバル化による英語の影響力の拡大があり,他方ではEUの少数言語憲章や,世界銀行,ユネスコ等による「万人のための教育」キャンペーンの母語主義教育など,各国民国家のレベルを超えた介入が,各国家の言語状況に影響を及ぼすようになっている。
一国一言語という19世紀ヨーロッパ型国民国家の理念型がもはや通用しないことは明らかだが,それに代わる多言語主義にもとづく社会の形成については,さまざまな試みはすでに存在するが,いまだ試行錯誤の段階を超えていない。
本研究では,ヨーロッパとアジア,アフリカの相互に大きく異なった歴史的社会的諸条件のもとにあるさまざまな国家,社会の言語問題とそこで行われている言語政策について,相互比較を通じて,従来の一国レベルの理解とは異なった総合的な展望を得ることを目指したい。
研究代表者 砂野幸稔(熊本県立大学)
プロジェクト・メンバー
研究代表者
AA研所員
共同研究員
- 市之瀬 敦
- 内海 敦子
- 大原 始子
- 梶 茂樹
- 神谷 俊郎
- 亀井 伸孝
- 木村 護郎 クリストフ
- 古閑 恭子
- 小森 淳子
- 佐野 直子
- 塩田 勝彦
- 品川 大輔
- 渋谷 謙次郎
- 竹村 景子
- 塚原 信行
- 柘植 洋一
- 寺尾 智史
- 名和 克郎
- 原 聖
- 原 真由子
- 藤井 久美子
- 藤井 毅
- フフバートル
- 前田 達朗
- 宮崎 久美子
- 森山 幹弘
- 安田 敏朗
- 山下 仁
- 米田 信子
- 李 守
- 若狭 基道
- 渡邊 日日
研究成果
研究会
- 日時:2010年11月20日(土)13:30-18:30,2010年11月21日(日)10:00-13:00
- 場所:AA研マルチメディア会議室(304号室)
- 藤井毅(AA研共同研究員,東京外国語大学)
- 「インド史のなかの言語と文字」
- コメンテータ:足立享祐(研究協力者,東京外国語大学)
- 安田敏朗(AA研共同研究員,一橋大学)
- 「多言語状況はいかにとらえられてきたか―近代日本の言語政策史の視点から」
- コメンテータ:石田俊二(研究協力者,三元社)
- 山下仁(AA研共同研究員,大阪大学)
- 「日本の多言語状況に関するいくつかの研究課題」
- コメンテータ:塚原信行(AA研共同研究員,京都大学)
- 全員
- 報告書作成のための討議
- 日時:2010年9月25日(土) 13:30-18:30
- 場所:AA研マルチメディア会議室(304号室)
- フフバートル(AA研共同研究員,昭和女子大学)
- 「新疆におけるモンゴル人の文字改革問題―<一民族一文字>の原理とモンゴル人の<民族>,<言語>,文字の関係」
- コメンテータ:李守(AA研共同研究員,昭和女子大学)
- 名和克郎(AA研共同研究員,東京大学)
- 「ネパールにおける “多言語状況” の諸側面」
- コメンテータ:柘植洋一(AA研共同研究員,金沢大学)
- 渡邊日日(AA研共同研究員,東京大学)
- 「ロシア・ブリヤーチアに於ける多言語状況-ブリヤート標準文章語の位置づけをめぐる近年の変化について」
- コメンテータ:渋谷謙次郎(AA研共同研究員,神戸大学)
- 日時:2010年7月10日(土) 13:30-18:00
- 場所:AA研マルチメディア会議室(304号室)
- 古閑恭子(AA研共同研究員,高知大学)
- 「ガーナにおけるアカン語使用の拡大」
- コメンテータ:塩田勝彦(AA研共同研究員,大阪大学)
- 藤井久美子(AA研共同研究員,宮崎大学)
- 「中国語圏において「華語」が果たす言語政策的役割」
- コメンテータ:佐野直子(AA研共同研究員,名古屋市立大学)
- 亀井伸孝(AA研共同研究員,大阪国際大学)
- 「手話をめぐる多言語状況の問題群」
- コメンテータ:木村護郎(AA研共同研究員,上智大学)
- 日時:2010年2月14日(日) 10:00-18:00
- 場所:AA研マルチメディア会議室(304号室)
- 大原始子(AA研共同研究員,桃山学院大学)
- 「移民の小国家シンガポール―管理された多言語主義―」(仮題)
- コメンテータ:砂野幸稔(AA研共同研究員,熊本県立大学)
- 塚原信行(AA研共同研究員,愛知県立大学)
- 「言語政策と人間開発―パラグアイにおけるグアラニ語教育を事例として―」(仮題)
- コメンテータ: 青砥清一(研究協力者,神田外国語大学)
- 原聖(AA研共同研究員,女子美術大学)
- 「少数言語運動とは何か」
- コメンテータ:渡邊日日(AA研共同研究員,東京大学)
- 日時:2009年11月21日(土) 13:30-18:30
- 場所:AA研マルチメディア会議室(304号室)
- 前田達朗(AA研共同研究員,大阪産業大学非常勤)
- 「どこまでがニホンでどこまでがニホン語か?―奄美大島の人びとの『シマグチ』から考える」
- コメンテータ:原聖(AA研共同研究員,女子美術大学)
- 寺尾智史(AA研共同研究員,神戸大学)
- 「少数言語と教育―他律性が強いイベリアの弱小少数言語を起点に―」
- コメンテータ:荒井幸康(研究協力者,北海道大学スラブ研究センター)
- 米田信子(AA研共同研究員,大阪大学世界言語研究センター)
- 「ヨーロッパ発「多言語主義」とアフリカの多言語状況」
- コメンテータ:佐野直子(AA研共同研究員,名古屋市立大学)
- 日時:2009年7月11日(土) 13:00-18:00
- 場所:AA研マルチメディア会議室(304号室)
- 森山幹弘(AA研共同研究員,南山大学)
- 「多言語社会インドネシア:国語政策と「地方語」の位相-スンダ語を例として」
- コメンテータ:内海淳子(研究協力者,明星大学)
- 原真由子(AA研共同研究員,大阪大学)
- 「バリ語ーインドネシア語のコード混在と敬語使用の相互作用」
- コメンテータ:内海淳子(研究協力者,明星大学)
- 木村護郎クリストフ(AA研共同研究員,上智大学)
- 「日本における「言語権」の受容と展開」
- コメンテータ:渋谷謙次郎(AA研共同研究員,神戸大学)
- 日時:2009年2月14日(土) 13:30-18:00
- 場所:AA研大会議室(303号室)
- 神谷俊郎(AA研共同研究員,大阪大学)
- 「ポスト・ポスト・アパルトヘイト期の言語事情―南アフリカの理想と現実」
- コメンテータ:品川大輔(AA研共同研究員・名古屋大学文学研究科gCOE研究員)
- 品川大輔(AA研共同研究員,名古屋大学gCOE研究員)
- 「ケニアにおける多言語状況―<スワヒリ語>をめぐる言語政策,言語教育,言語使用」
- コメンテータ:神谷俊郎(AA研共同研究員,大阪大学他非常勤)
- 李守(AA研共同研究員,昭和女子大学)
- 「朝鮮族の<bilingualism>からみた中国の<multilingualism>」
- コメンテータ:フフバートル(AA研共同研究員,昭和女子大学)
- 日時:2008年10月25日(土) 13:30-18:30
- 場所:AA研大会議室(303号室)
- 梶茂樹(AA研共同研究員,京都大学)
- 「言語はみんな少数だ―アフリカから見る言語と社会」
- コメンテータ:砂野幸稔(主査・AA研共同研究員,熊本県立大学)
- 柘植洋一(AA研共同研究員,金沢大学)
- 「文字は誰のものか?―エチオピアの無文字言語の文字化をめぐって」
- コメンテータ:乾秀行(研究協力者,山口大学人文学部)
- 若狭基道(AA研共同研究員,明星大学)
- 「ウォライタ(エチオピア)の多言語使用状況」
- コメンテータ:乾秀行(研究協力者,山口大学人文学部)
- 日時:2008年7月5日(土) 13:00-18:00
- 場所:AA研大会議室(303号室)
- 砂野幸稔(熊本県立大学)
- プロジェクトの趣旨説明および問題提起
- 佐野直子(AA研共同研究員,名古屋市立大学)
- 「ヨーロッパにおける「多言語主義」と少数言語」
- コメンテータ:木村護郎クリストフ
- 渋谷謙次郎(AA研共同研究員,神戸大学大学院)
- 「言語権とは何か:法学者の問題提起」
- コメンテータ:塚原信行
- 全員
- プロジェクトの進め方について
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