AA研トップ > 共同利用・共同研究 > 共同利用・共同研究課題 > タイ文化圏における山地民の歴史的研究 (jr...
文字の大きさ : [大きく] [標準] [小さく]

AA研共同研究プロジェクト

タイ文化圏における山地民の歴史的研究 (jrp000143)

sample

キーワード

  • タイ文化圏
  • 山地民
  • タイ系諸族
  • モン・クメール系諸族
  • チベット・ビルマ系諸族
  • ミャオ・ヤオ系諸族

関連地域

  • ミャンマー
  • 中国
  • タイ
  • ラオス
  • ベトナム
  • インド

ウェブサイト

---

プロジェクトについて

期間:2006-2010年度

中国西南部から大陸東南アジア北部に跨がるタイ文化圏の歴史においては,タイ系民族の盆地政権がその周辺の山岳地帯に居住する山地民を緩やかに「統治」した。19世紀以降,タイ文化圏は中国,ミャンマー(ビルマ),タイ,ラオス,ヴェトナム及びインドの六ヶ国に組み込まれて,盆地政権は消滅した。盆地政権の領民はこの六つの近代領域国家に同化を強要されはしたものの,タイ文化圏はなお存続している。これまで研究者は,盆地政権中心にこの地域全体の歴史を再構築してきたが,山地民が盆地政権の存続を揺るがす存在であるにもかかわらず,山地民の歴史的役割を重要視してこなかった。本プロジェクトの目的は山地民の歴史的役割を明らかにして,その役割を総合的に概念化することによってタイ文化圏の歴史的形成を再解釈することである。

このような再解釈によって,これまでタイ系民族側から叙述されたタイ文化圏の歴史がもっと公平に見られるようになると期待できる。これまで山地民が果たした歴史的役割を重視しなかった理由としては,以下の二点が挙げられる。第一に歴史家は,この六ヶ国における近代国家の建国に貢献した文化や民族が果たした役割を強調する視点から歴史を再構築してきたが,山地民は貢献度が少ないため等閑視されてきた。第二に,研究者は各民族集団の固有な文化と歴史の解明を目的に,個別的に研究してきたため,山地民が共通に経験してきた歴史という視点が見落とされてしまった。夥しい数の民族集団が居住する地方はそれぞれ異なるが,その歴史体験の共通性を明らかにする視点を採用する手法によって,タイ文化圏の歴史に対する統一的な理解を深化させることを,本プロジェクトは目指している。

山地民の歴史研究には史料的な制約があり,先行研究も乏しいため,プロジェクトの運営上以下のような措置をとる。山地民の多くは自己の文字を有しないので,盆地のタイ系民族や,中国とビルマ王朝の史料,及び西洋人など,外部の人間の手による資料に依存せざるを得ない。そのため歴史学者以外にも言語学や文化人類学などの専門家の参加によって学際的なアプローチを採用する。さらに,一年目ではコアメンバーの共同研究員で,山地民の歴史を構想する枠組みを作り上げ,二年目以降その枠組みに沿う形で共同研究員を増やして研究を進行させる。

研究代表者 クリスチャン・ダニエルス(AA研)

プロジェクト・メンバー

研究代表者

  • クリスチャン・ダニエルス(AA研)

AA研所員

  • 陶安 あんど(副代表)

共同研究員

  • 飯島 明子
  • 池田 一人
  • 樫永 真佐夫
  • 片岡 樹
  • 加藤 高志
  • 清水 享
  • 新江 利彦
  • 園上 満
  • 武内 房司
  • 立石 謙次
  • 富田 晋介
  • 長谷 千代子
  • 西谷 大
  • 村上 忠良
  • 山田 敦士
  • 吉野 晃

研究成果

  • 『自然と文化そしてことば』03(2007年8月31日)「国境まき山地民ータイ文化圏の生態誌」(研究代表者,副代表および共同研究員を中心とした特集号 129頁)
  • 新谷忠彦著『タイ族が語る歴史「センウィー王統紀」「ウンポン・スィーポ王統紀」』 東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 叢書知られざるアジアの言語文化I,2008年3月10日。(雄山閣から市販本が刊行されている)副代表による成果
  • チャレ著 片岡樹編訳『ラフ族の昔話ービルマ山地少数民族の神話・伝説』東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所叢書知られざるアジアの言語文化II,2008年3月10日。(雄山閣から市販本が刊行されている)共同研究員による成果

研究会

2010年度第3回研究会(通算第16回目) : 報告書(和文)(224KB)

  • 日時:2010年11月7日(日)13:00-18:00
    場所:AA研セミナー室(301号室)
    共同研究員全員
    「成果論文の執筆について」
    松岡格(東京大学学術研究員)
    「徳宏州ジンポー族の社会史と文化:首長・リネージ・儀礼・習慣」

2010年度第2回研究会(通算第15回目) : 報告書(和文)(254KB)

  • 日時:2010年9月25日(土)13:00-18:00
  • 場所:AA研セミナー室(301号室)
  • 共同研究員全員
    「『叢書:知られざるアジアの言語文化』について」
    共同研究員全員
    「成果論文の構想について」
    生駒美樹(AA研共同研究員,東京外国語大学大学院)
    「茶をめぐる民族間関係の人類学考察―ビルマ(ミャンマー)における茶の生産,流通,消費を事例として」

2010年度第1回研究会(通算第14回目) : 報告書(和文)(199KB)

  • 日時:2010年5月8日(土)13:00-18:00
  • 場所:AA研セミナー室(301号室)
  • 共同研究員全員
    「『叢書:知られざるアジアの言語文化』について」
    クリスチャン・ダニエルス(AA研所員)
    「成果論文集の叩き台:James C. Scott The Art of Not being Governed: an anarchist history of upland Southeast Asiaが提示する見方」
    川野明正(明治大学)
    「中国西南地方の蠱毒と呪術伝承」

2009年度第4回研究会(通算第13回目) : 報告書(和文)(240KB)

  • 日時:2009年10月31日(土)13:00-18:00
  • 場所:AA研セミナー室(301号室)
  • 共同研究員全員
    「『叢書:知られざるアジアの言語文化』について」
    伊藤悟(総合研究大学院大学博士課程,日本学術振興会特別研究員)
    「徳宏タイ族のシャマニズムと声の文化―ムンヤーンとムンコァンの事例から」
    新江利彦(京都大学大学院地球環境学堂)
    「ベトナム中部高原山地民の「歴史」―バナの事例」

2009年度第3回研究会(通算第12回目) : 報告書(和文)(127KB)

  • 日時:2010年6月13日(土)13:00-18:00
  • 場所:AA研セミナー室(301号室)
  • 西谷大(AA研共同研究員,国立歴史民俗博物館 准教授)
    「多民族が暮らす雲南省者米谷の生業と市―生業戦略からみた市の成立」

2009年度第2回研究会(通算第11回目) : 報告書(和文)(145KB)

  • 日時:2009年4月18日(土)10:00-13:00
  • 場所:AA研セミナー室(301号室)
  • 西川和孝(中央大学大学院)
    「明清時期雲南省石屏盆地における漢人移民の耕地開発―官による水利事業と科挙合格者の増加を中心として―」
    新谷忠彦(AA研所員)
    「『民族』再考―最近の調査から」

2009年度第1回研究会(通算第10回目) : 報告書(和文)(166KB)

  • 日時:2009年4月12日(日)13:00-18:00
  • 場所:AA研マルチメディア会議室(306号室)
  • 田口善久(千葉大学文学部)
    「湖南省江華県におけるミエン語調査 2009.3」
    吉川雅之(東京大学大学院総合文化研究科)
    「湖南省江華県の言語調査─土話の分布と特徴」

2008年度第3回研究会(通算第9回目) : 報告書(和文)(162KB)

  • 日時:2008年10月18日(土)13:00-18:30
  • 場所:AA研マルチメディアセミナー室(306号室)
  • 共同研究員全員
    「『叢書:知られざるアジアの言語文化』について」
    立石謙次(青山学院大学)
    「『南詔図伝』からみた後期南詔国―梵僧観音伝説と王権」
    山田勅之(神戸大学大学院)
    「明代の雲南麗江ナシ族・木氏土司の対外拡張とその意義―中華世界とチベット世界の狭間で―」
    新谷忠彦(AA研所員)
    「言語学,歴史学,文化人類学の接点を探る」

2009年度第2回研究会(通算第8回目) : 報告書(和文)(179KB)

  • 日時:2008年9月21日(日)13:30-18:00
  • 場所:AA研セミナー室(301号室)
  • 共同研究員全員
    「『叢書:知られざるアジアの言語文化』について」
    新谷忠彦(AA研所員)
    「フエ郊外の山地民と越人(京族)の関係について」
    新谷忠彦(AA研所員)
    「チャム藩王国と越南帝国フエ朝廷の関係について:二つの「チャム王家年代記」をめぐって」フエ郊外の山地民と越人(京族)の関係について,チャム藩王国と越南帝国フエ朝廷の関係について:二つの「チャム王家年代記」をめぐって」
    小島敬裕(京都大学)
    「中国雲南省徳宏地域におけるタイ族の上座仏教と在家信者」

2008年度第1回研究会(通算第7回目) : 報告書(和文)(132KB)

  • 日時:2008年7月28日(月)13:30-18:00
  • 場所:AA研セミナー室(301号室)
  • 共同研究員全員
    「『叢書:知られざるアジアの言語文化』について」
    尹紹亭(AA研共同研究員)
    「雨林,ゴム,茶園―雲南西南山地民族の生態史」

2007年度第3回研究会(通算第6回目)

  • 日時:2007年9月29日(土)11:00-18:30
  • 場所:AA研セミナー室(301号室)
  • 共同研究員全員
    「『叢書:知られざるアジアの言語文化』について」
    谷口裕久(龍谷大学)
    「国民国家と民族の論理―中国・東南アジア大陸部国家における「ミャオ(苗)族」/モン(Hmong)の事例から」

2007年度第2回研究会(通算第5回目)

  • 日時:2007年5月26日(土)13:00-18:00
  • 場所:AA研セミナー室(301号室)
  • 共同研究員全員
    「少数民族の言語から和訳する企画」
    新谷忠彦(AA研所員)
    「シャン文化圏研究で分かったこと,分かっていないこと」

2007年度第1回研究会(通算第4回目)

  • 日時:2007年4月15日(日)13:30-18:00
  • 場所:AA研セミナー室(301号室)
  • 林成美(東京外国語大学大学院)
    「清朝統治下の台湾における仲介者―その多面的な性格についての一考察」
    西川和孝(中央大学大学院)
    「19世紀初頭の雲南省元陽県一帯における漢人流人と棚田地帯の生態環境の変化―窩泥人高羅衣の蜂起を通して」

2006年度第3回研究会(通算第3回目)

  • 日時:2006年9月30日(土)14:00-18:00
  • 場所:AA研セミナー室(301号室)
  • 樫永真佐夫(国立民族学博物館)
    「他者として表象される山地民―黒タイ語資料と現地調査からの分析を中心に」
    クリスチャン・ダニエルス(AA研所員)
    来年度の企画について

2006年度第2回研究会(通算第2回目)

  • 日時:2006年7月23日(日)13:30-18:00
  • 場所:AA研セミナー室(301号室)
  • クリスチャン・ダニエルス(AA研所員)
    「13~17世紀におけるモン・クメール系民族の政権―メコン河以西の事例」
    片岡樹(目白大学)
    「19世紀中緬辺疆地域の「ラフの国」について―清朝期雲南のチベット・ビルマ語系山地民の政治統合の一例として―」

2006年度第1回研究会(通算第1回目)

  • 日時:2006年4月15日(土)14:00-18:00
  • 場所:AA研セミナー室(301号室)
  • クリスチャン・ダニエルス(AA研所員)
    タイ文化圏における山地民の歴史的研究―趣旨説明

共同利用・共同研究課題ページに戻る


Copyright © 2010 Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa. All Rights Reserved.