こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。
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香港式ミルクティーとは,セイロン紅茶とエバミルクで作られる香港の飲み物です。20世紀の中頃,香港の庶民的洋食店で生まれた飲み物だとされています。旧宗主国であるイギリスの茶文化の影響を受けていることは明らかですが,練乳の一種であるエバミルクを用いることもあり,本場イギリスのミルクティーよりも濃厚な味がします。香港人に長く愛されてきたこの味は,今では街のローカルな文化の象徴となっており,香港式ミルクティーの製法は香港政府が認定する無形文化遺産にも選ばれています。近年では香港から海外に移住する人々の増加とともに,香港式ミルクティーを提供する香港人経営の店舗も世界中で見られるようになりました。私がイギリスで見つけた店舗もその一つです。イギリス統治期に由来する香港ミルクティーが,香港人の海外移住とともに「里帰り」を果たしたことには,なんだか不思議な歴史の皮肉のようなものも感じてしまいます。
2023年8月30日
ロンドン,ブリック・レーン
小栗宏太 撮影
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