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今月の一枚 2023年12月

こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。

(写真の著作権は撮影者にあります。無断・無許可でのご使用は固くお断りします。)

歴史地区とブルドーザー

エジプトは人口構造も文字通り「ピラミッド型」である。爆発的に増える人口に付随する都市問題に対処するため、現政権下では首都移転計画をはじめ、幹線道路などのインフラ建設が活発に行われている。その都市開発の波は伝統的なイスラーム地区にも押し寄せてきた。写真の奥はファーティマ朝カリフのハーキムが創建したモスクである。フトゥーフ門al-Futuh(左)を抜けて、ムイッズ通りという中世の目抜き通りに位置するそこには、数年前まで商店や集合住宅がひしめいていた。辛うじて更地化を免れた住民に話を聞くと、外資系のホテルになるという。10世紀から続く人々の暮らしの息遣いを留めるのは今やグーグルマップだけであるが、いずれ更新されれば消えてしまうのだろう。縦横無尽に走り回るブルドーザーを前に、積み重なる1000年の歴史に思いを馳せる。

2022年8月
エジプト・カイロ市イスラーム地区
太田(塚田)絵里奈 撮影


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