AA研トップ > 読みもの > 今月の一枚 > バックナンバー > 今月の一枚 2019年2月
文字の大きさ : [大きく] [標準] [小さく]

今月の一枚 2019年2月

こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。

(写真の著作権は撮影者にあります。無断・無許可でのご使用は固くお断りします。)

極めつけの難題

碑文撮影をしていると、しばしば被写体とカメラの間の距離が取れないケースに直面する。碑文が寺院内に設置あるいは移設される際、壁の近くに置かれる傾向にある。大きな碑文の多くは専用の碑文庫に納められているが、それらはたいてい碑文を納める必要最低限の寸法しかない。

直近の調査で訪れたコンバウン王朝発祥の地シュウェボーの旧王宮で、これまで経験した中でも極めつけの難題に出くわした。通常と異なり、この碑文庫では碑文が壁に対して対角線に置かれている。碑文庫の設計者による建設資材節約のための—それ以外の理由を思い付かない、碑文庫の周りには十分なスペースがあるからだ—工夫が、とんでもなく撮影困難な状況を作り出してしまったのだ。碑文庫の出入口にカメラを置いても斜め方向からしか撮影できないし、高さ約3m、幅2.5mあるこの碑文を写真内の三脚の位置から撮影しても、超広角レンズを用いてさえ全体をフレームに収めることはできない。三脚のポールを後ろに傾けてカメラを碑文庫の隅ぎりぎりまで近づけ、モニタの向きを変えて横からカメラを操作して、なんとかこの難題をクリアできた。


2018年12月24日
ミャンマー、ザガイン地方域シュウェボー市、旧王宮ボンサントゥルッ碑文庫
澤田英夫 撮影


Copyright © 2010 Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa. All Rights Reserved.