こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。
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20世紀初頭に撮られたと見られる一枚の古写真がある。一面に広がる農地のまっただ中に佇む橋の写真だ(註)。奇妙なことに,橋の下には水の流れはない。一体何のためにこのような橋が建てられたのか?
答えを明かしてしまうと,19世紀に進められた開発によって水の流れが変わっためである。つまり,古写真に写っている橋は,すでにその本来の役割を終えていたのである。
橋の側面に注目されたい。獅子のレリーフがあるのにお気づきだろうか。これは13世紀のスルタン・バイバルス(在位1260–77)の紋章である。そう,この橋は13世紀に建造されたものである。歴史あるこの橋を一目見てみたいと2年ほどかけて探した結果,ようやく見つけることができた。現在,橋は遺跡として保存されているが,その存在はほとんど知られていない。
註:興味がある方は,Abu al-Munajja Bridgeで画像検索されたい。
2017年3月10日
撮影地:エジプト, カルユービーヤ県
熊倉和歌子 撮影
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