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ヴァサント・パンチャミーは芸術や学問の女神サラスヴァティーと結びついた,春の到来を祝うお祭りである。毎年1月の下旬から2月の上旬頃に催される。祭りとなるとヒンドゥー教徒たちはサラスヴァティー寺院を参拝するのみならず,町のそこかしこに美しく着飾った女神の像を据え,その前でプージャーを捧げるのである。
1784年に設立されて以来ヨーロッパ東洋学の草創期を担った機関である,コルカタ・アジア協会も例外ではない。敷地内にサラスヴァティー像が据えられて,ランニングシャツを来たバラモンが,恐らく年に数回しか朗唱しないのであろう,なんともぎこちないサンスクリットでプージャーを捧げている。像の両隣にはアジア協会の創設者であるウィリアム・ジョーンズの絵と,ベンガルの詩聖ラビンドラナート・タゴールの絵も置かれている。ここを訪れたあるヒンドゥー教徒に「ジョーンズも崇敬されているのか?」と訪ねたところ,彼は爽やかな笑みを浮かべながらイエスと答えた。
2011年2月8日
コルカタ,インド
小倉智史 撮影
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