こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。
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ジンポー,ロンウォー,ラチッなどカチンの諸民族は,ジンポー語でシャバ・ラップ(占いの葉)と呼ばれる細長い葉を用いた伝統的な占いを行なってきた。まず占師はシャバの葉に真実を告げるよう願う言葉を唱える。それから,葉の元を残して葉脈にそって6つに裂く。片手で葉の元を持ち,もう一方の手で葉を撚り合わせ,6つに裂かれた葉先の並びがわからないようにする。それから写真のように葉先のうち2つを結び,残ったうちからもう2つを結び,最後にどの葉先が結ばれているかを見る。結び目のパターンは全部で45通りあり,それによって,祭礼でどの精霊にお供えするかから,いなくなった牛がどこにいるのかまで,様々な事柄を占った。
カチンがまだ精霊を信仰していた時代,シャーマンは雄雌つがいの鶏を精霊に捧げてシャバの葉の占いを行い,よく的中していたという。キリスト教が広まり,シャーマンもいなくなった。占いの手順を見せてくれたラチッ族言語文化委員会のランズン氏は,今はなきシャーマンの一人からこの占いの仕方を習ったそうだ。「よく宝くじの番号を占っているんだが,週に一度ぐらいは当たるよ」と,氏は率直に言う。週に何度占っているのかは,敢えて訊かなかった。
2013年3月13日
ミャンマー連邦カチン州ミッチーナー市ドゥカトン地区
澤田英夫 撮影
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