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今月の一枚 2012年12月

こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。

(写真の著作権は撮影者にあります。無断・無許可でのご使用は固くお断りします。)

僻遠の地のシュウェダゴン

ヤンゴンを訪れたことのある人なら,ダゴンの丘に鎮座ます仏教徒の誇りシュウェダゴン・パゴダ....と一見して思うことだろう。しかしよくよく見ると,パゴダの色や周囲の小塔との大きさの比率に違和感を感じることだろう。実はこのパゴダがあるのはヤンゴンではなく,遠く離れたカチン州の州都ミッチーナーの郊外なのだ。(ヤンゴンの本家シュウェダゴンの写真はこちら。)

その日の調査が予定より早く終わって自転車で遠乗りしている時,遠目に見える,田舎には不釣り合いな立派な姿のパゴダが私の注意を引いた。どこか見覚えのあるその姿を頼りにパゴダの入口にたどり着いた。「アナンダ(無量)・トゥカ(富)・シュウェダゴン・ダートゥ(舎利)・ゼーディー(塔)・ドー(聖)」と書かれた門をくぐってご対面した主塔は,まさしくシュウェダゴンのミニチュア。呆気にとられて眺める他なかった。

パゴダの由来を示す碑には,1993年に当地のケーマーティーウン僧校を束ねるタッダンダ・カッタパ・ウンタ長老の檀家の人たちが僧校の土地にパゴダを建てたいと願い,長老の没後も寄付を集めて着工し,2008年めでたく完成したとある。本家シュウェダゴンからの勧請であるという記述は見当たらなかった。

シュウェダゴンのミニチュアは東部シャン州のターチーレイッにもある。遠く離れていればいるほど,「仏教徒の誇り」と共にありたいという気持ちがいやが上にも増すのかもしれない。ともあれ,僻遠の地にシュウェダゴンの姿を現出せしめる仏教徒の一念にはただ感じ入るばかりである。

2011年11月9日
ミャンマー連邦カチン州ミッチーナー市ランプー地区
澤田英夫 撮影

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