こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。
(写真の著作権は撮影者にあります。無断・無許可でのご使用は固くお断りします。)
タイ・バンコク市内,チャオプラヤ川西岸に位置するウォンウィアン・ヤイ駅は,バンコクから南西に延びるタイ国鉄メークローン線のターミナルです。大都市バンコクの起点駅にしては,その構造は1面1線ととてもシンプルで,どちらかと言えばのんびりした雰囲気に包まれています。この写真を撮影する際も,駅員の手旗信号でゆっくりと車止めに接近する到着列車の直前を,女性が平気な顔で横断して行きました。それが許される空気が,確かにその場にはあるのです。
開いたドアから次々に吐き出される乗客達にもビジネスマンや長距離旅客といったなにがしかの特徴があるわけではなく,どちらかと言えば生活路線としての役割が大きい様に感じられます。それを証明するかの様にケースに入った卵が車内に積み込まれているのを,解放されたドアから見ることができました。
このメークローン線,途中のマハーチャイ駅で一旦途切れ渡し船で渡河後に対岸から再び鉄路となるとのこと,つまりそれで間に合うくらいの輸送量なのでしょう。もしかしたら,少ない便数の貴重な列車到着場面にでくわしたのかもしれません。
果てのわからない異国のローカル線を目の前にして旅情を掻き立てられ,市街地調査という当初目的を忘れて乗車券を購入したくなりましたが,衝動をようやく抑えて踵を返しました。
2011年9月12日
バンコク市内
梅川通久 撮影
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