AA研トップ > 読みもの > 今月の一枚 > バックナンバー > 今月の一枚 2012年2月
文字の大きさ : [大きく] [標準] [小さく]

今月の一枚 2012年2月

こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。

(写真の著作権は撮影者にあります。無断・無許可でのご使用は固くお断りします。)

熱帯の春

華人たちにとっては,旧暦の元日から十五日までがいわゆる春節期間だ。今年は1月23日から2月6日までがそれに当たる。写真は3年前の春節期間の真っただ中に,インドネシアはジャワ島中部の港湾都市スマランの寺廟(中国寺院)で撮ったものである。この寺廟は,明の時代に南海大遠征を行なった鄭和が祀られていることで知られており,前からよく訪れていたのだが,普段は見かけない満開の桜の造花が正面に飾られているのが目に留まった。

最近は春節期間になると,デパートなどでもこうした飾り付けで季節感が表現されるのをよく目にするようになった。四季のない国での春の演出,といったところか。

とはいえ,年がら年中暑いだけのように思われる熱帯にも,全く季節感がないわけではない。この国の人口のわずか数パーセントを占める華人たちは,「旧正月にはたいてい雨が降る。雨が降ればその年は良い年になる」と言い伝えている。その土地ごとに民族性に根差した独自の季節感覚というものがあるのだ。

2009年2月6日
インドネシア共和国中ジャワ州スマラン市内にて
津田浩司 撮影

今月の一枚バックナンバーページに戻る


Copyright © 2010 Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa. All Rights Reserved.