こちらにはひと月に一度,AA研スタッフや共同研究員がフィールド調査の際に撮った写真を載せています。
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ベツレヘムの聖誕教会といえば、キリスト教の聖書にも出てくるイエス誕生のまさにその場所だ。今では美しい教会が建てられ、いくつもの宗派の礼拝堂が中に並立している。クリスマスの日に行なわれる荘厳なミサの様子は、衛星テレビで世界中に放映される。イスラーム教徒であるパレスチナ自治政府の大統領も、この日ばかりは参列しに来る。私も一度だけ、そのミサに参加したことがある。早いうちから券を予約したものの、教会に着いた頃にはすでに大混雑で、なんとか中に入れたものの横の通路で人ごみの中から垣間見る状態だった。
年が明けた1月1日、ベツレヘムに泊まっていた私は教会を再び訪れた。「お正月」という習慣はないとはいえ、新しい年を迎えるこの日を教会や人々はどう迎えるのか見てみたかったからだ。教会の敷地内は閑散としており、数日前の賑わいが嘘のようだ。おしくらまんじゅうをしていた礼拝堂では、生花と蝋燭が美しく飾り付けられている。聞くと今日、結婚式があるらしい。元旦に聖誕教会で結婚式。一生忘れようもないおめでたい組み合わせのようだが、こちらでは普通なのかもしれない。礼拝堂の入り口では、緊張した面持ちでスーツ姿の親子が話をしていた。
2005年1月
お正月のベツレヘム聖誕教会
錦田愛子 撮影
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